[PR]

 人里離れた山あいにある施設に集団で生活する障害者――。昨年7月に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件は、こうした実像を浮き彫りにした。障害者が暮らす場を施設から地域へ移す流れは、どうなっているのか。

 大阪府南部にある富田林市の近鉄富田林駅から自動車で20分ほど走ると、金剛山をのぞむ山林に囲まれた広大な敷地が広がる。面積は約82万平方メートル。東京ディズニーランドの1・6倍にあたる。

 敷地内に点在する7棟の施設に、42人の子どもを含む408人の知的障害者らが暮らしている。職員が「最寄りのコンビニまで約3キロ」と言う場所にあるのが、「こんごう福祉センター」だ。

 3月末、敷地の大半を占める居住区域である「大阪府立金剛コロニー」が閉鎖された。代わりに今月1日、コロニーを運営してきた大阪府障害者福祉事業団が、介護の必要性の高い高齢者に対応した施設「にじょう」を60人の定員で開所した。48人はコロニーから移り、地域での生活が難しくなった高齢の障害者も新たに入所してきた。

 昼下がり、「にじょう」の一室から高倉健の「唐獅子牡丹(ぼたん)」など1960~70年代の流行歌が聞こえてきた。昭和歌謡が好きな男性(73)が集めたCDだ。

 男性には知的障害がある。若い頃は自動車やねじの工場で働いていたが、78年、34歳の時に失業した。それを機に、両親に代わって面倒をみていた親類が金剛コロニーへの入所を依頼。それ以来、39年にわたって暮らしている。

 「これな、妹と住んでた家やねん」。男性は壁に貼られた絵を指さした。平屋建ての建物と2人の人物が描かれている。ただ、今は「ここがええ」という。

高齢者ら、施設を離れらない

 金剛コロニーは大阪府吹田市で万博が開かれた70年に開所され、当時は定員850人で国内最大規模。「北の万博、南のコロニー」と呼ぶ人もいた。

 介護を担う家族の負担を解消し、「親亡き後」も子の安心した暮らしを願う親の思いに応えるのがコロニーだった。70年代には都道府県が各地に作り、全国でコロニーブームが起きた。

 だが、地域から隔離される施設のあり方への疑問はあった。81年の国際障害者年を機に障害者も地域で暮らす「ノーマライゼーション」の考えが広がると、「施設から地域へ」という動きが出てきた。

 事業団は2003年度から、高…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら