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 遺伝子組み換え(GM)作物を使った食品について、消費者庁は今月、表示対象の拡大を視野に有識者検討会を立ち上げる。現在の制度では、GM作物が使われていてもそれを表示しなくていいケースが多く、「分かりにくい」と指摘されていた。

 4月初め、東京都内の大型スーパー。店頭に並ぶほぼ全ての豆腐やしょうゆの表示に、原材料の大豆は「遺伝子組換えでない」と記されていた。コーン缶詰にも同じ表示。「組換え」と表示された商品は一つも見つからなかった。

 現在の表示制度は2001年に開始。GMが行われている大豆などの作物と、その加工品が対象だ。

 栽培や輸送でGM作物と非GM作物が混ざらないよう分別管理されていなければ、「不分別」と表示しなければならない。この場合、GM作物が含まれている可能性が高い。「組換え」と表示されていればGM作物だけを使用。一方、メーカーは非GM作物で分別管理されたことを確認すれば、「組換えでない」と任意で表示できる。

 ただ義務表示の対象外の食品が多く、分かりにくさの一因になっており、検討会で見直しが議論される予定だ。

 まず微量のGM作物の混入は、表示しなくていい。大豆など原料段階でGM作物が含まれていても、5%以下は「意図せざる混入」と見なされるためだ。また、しょうゆや油、トウモロコシから作る果糖ブドウ糖液糖など、加工の際に遺伝子が分解される食品も対象外。「遺伝子が検出できず事後検証ができない」(国)ことが理由という。

 こうした食品でも、分別管理されていれば「組換えでない」と表示できる。店頭でこの表示ばかりが目立つのはそのためだ。

 検討会では、「意図せざる混入率」の5%を引き下げるか▽微量のGM作物が含まれても「組換えでない」という表示を今後も認めるか▽遺伝子が検出できない油などの食品にも義務表示を広げるか――といった点を議論し、今年度末までに取りまとめる予定だ。

 消費者庁が「非GM作物」として輸入された大豆やトウモロコシを調べたところ、最大4%台のGM混入があった。メーカー関係者は「意図せざる混入率が1%に下がれば、コストアップや仕入れ難につながる恐れがある」と懸念する。

 海外では、日本に比べ表示が厳格な国もある。EUでは、遺伝子が検出できない油なども含めGM作物を使っていれば表示する。「意図せざる混入率」に関しては、EUは0・9%、豪州1%、韓国3%で、日本の5%に比べて低い。表示制度がない米国も昨年、2年以内に制度を作ることを決めた。

日本ではどんな食品に

 日本では表示からは見えにくいGM作物。どんな食品に使われているのか。

 GM技術の情報発信をしているバイテク情報普及会によると、飼料が多いが、食用としては大豆は油、トウモロコシは飲料に使われる果糖ブドウ糖液糖などの糖類の材料になる。いずれも義務表示の対象外だ。

 消費者団体「たねと食とひと@フォーラム」は食品メーカーへアンケートを実施している。油は大手5社が、1商品を除いて原料のナタネや大豆は「不分別」と回答した。しょうゆでは、大手9社が主原料の大豆は「組み換えでない」とし、糖類では3社が「不分別」のトウモロコシを使用していた。発泡酒も大手4社の回答から、いずれも「不分別」のトウモロコシを糖類に使っていることが分かった。(藤田さつき)

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 〈遺伝子組み換え作物〉 他の生物の遺伝子を組み込んで「害虫に強い」など新しい特性を持たせた作物。日本では食用の商業栽培は行われていないが、米国や南米などで広く栽培。日本には年間約1800万トンが輸入され、輸入品の大豆、トウモロコシの約9割、ナタネの約8割を占める(2015年推計)。国がアレルゲンや毒素にならないかなどを調べ「安全」と評価したものが流通しているが、商業栽培開始からまだ約20年のため「長期間食べ続けた場合の安全性は検証されていない」と懸念する声もある。