【動画】93歳の筏流し経験者が語る「しこぶちさん」の伝説=福野聡子撮影
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 京都市中心部から車で約1時間、市最北端にある久多(くた)。山々に囲まれた約90人の小さな集落です。中心にあるのは、久多川そばの志古淵神社。「しこぶちさん」と呼ばれる地元の神さまです。でも、川をたどっていくと、思子淵、志故淵……と「シコブチ」神社があちこちに。琵琶湖に注ぐ安曇(あど)川流域の記憶をたどりました。

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 久多は、中世には藤原道長が建てた寺の所領でした。古くから林業が盛んで、運搬は「筏(いかだ)流し」で。山から切り出した木材を筏に組み、川を使って運ぶ方法で、最後は琵琶湖へ。安曇川流域の木材はそこから京都・奈良へ運ばれたといいます。

 しぶきを上げる急流、突き出る岩。流域には難所も多く、筏流しは命がけ。ガワタロウ(カッパ)が襲うとされ、「しこぶちさん」は筏乗りの守り神として語り継がれてきました。

 「思う淵の神の守りをかしこみて 棹(さお)に巧みの久多のいかだは」。久多で昔から詠まれている句として、30余年前発行の冊子で紹介されています。

歴史の証人が語る川

 「……しこぶちさんはガワタロウに、『コボシ(コブシ)の梃子(てこ)を持ち、ガマの脛巾(はばき、脚半のこと)をはいた筏乗りには、絶対手を付けたらあかん』といいきかせた。筏の神さんですね」。久多在住の筏流し経験者、小阪源逸(げんいつ)さん(93)が語ります。70年以上前、17、18歳から2年ほど従事したそうです。

 夏に伐採した木は乾燥させて山から下ろし、雪解け水で水位の上がる4月に筏にして流しました。筏は長さ約4メートルの材木12~13本を一連として組み、8~9連に。材木の両端に穴を開け、木のツルなどで作った「ネソ」という縄で連結。一番先の連は、短めの材木で細めに組むのがコツだそうです。

 組んだ筏に乗り、下流の針畑(はりはた)川との合流地点へ。時には、もっと先の安曇川との合流地点まで筏で下ったといいます。「若い私は(3人乗りの)先頭に乗せられた。石が出てて、ものすごいきつい『石棚』というとこがあった。下りたとこで腰まで水に。宙に浮いたみたいになってね」。

 難所には、「金山淵」「ヒバサ…

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