[PR]

 パチンコやパチスロで勝ったとき、出玉を景品に換えた際に出る余り玉(端玉〈はだま〉)を学生のために寄付して――。業界の有志が、返済なしの教育支援金制度、通称「pp(パチンコ・パチスロ)奨学金」を始めた。今年度の奨学生は8人で、1人あたり月3万~5万円を支援する。2018年度の本格実施を目指す。

 店舗を経営する「サンキョー」(埼玉県川口市)や「マルハン」(京都市・東京都千代田区)など6社がつくるpp奨学金委員会が、昨年12月にパイロット事業として「募金」をスタートした。愛知県内で4店舗を経営する「フシミコーポレーション」の社長、深谷友尋・前日本遊技関連事業協会会長が委員長を務める。

 きっかけは、「社会貢献活動ができないか」と深谷さんとサンキョー社長の阿部恭久さんが話し合ったことだ。奨学金で大学卒業時に数百万円の「借金」を背負う若者が多いことに着目。難民や中国帰国者の子弟らの進学・就学を支援してきた社会福祉法人「さぽうと21」(東京都品川区)に協力を求めた。名前の「pp」には、ほんの少し(ピアニッシモ)の善意を、という意味を込めた。

 現在の協力店は約40社。店に「端玉募金箱」を置き、パチンコ玉やコインを寄付してもらう。1玉4円、1コイン20円換算で「さぽうと21」が受け取り、奨学生に給付する。運営費は協賛店やメーカーなど業界全体に寄付を呼びかけてまかない、善意はすべて奨学金として使うという。

 選考の基準は18歳以上で、①経済的な理由で修学が困難②成績優秀③研究の内容に独自の視点があり、未来の夢やビジョンを語ることができること。特に③を重視し、対象を広くする考えだ。

 今年度の奨学生は18~46歳の男女各4人。4月から武蔵野音大大学院でラベルを研究する藤井千裕さん(22)は1日7時間のピアノの練習が必要だ。「アルバイトができないので奨学金は助かる」。立教大大学院博士課程の仲田由紀美さん(46)は家事や夫の父の介護をしながら、戦後のウズベキスタンの日本人抑留者について研究を続ける。「私の年齢でもらえる奨学金はほかにない。研究のために海外にもよく行くので、ありがたい」と話す。

 委員長の深谷さんは「アルバイトに追われる学生が多いが、教育力は国の経済や文化、将来のために非常に大切。苦学する学生に手を差し伸べたい」と語る。協力店を増やし、200人に月5万円を支援することが当面の目標だ。18年度の募集は9月に始める。(編集委員・大久保真紀