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 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織的犯罪処罰法の改正案が19日、衆院法務委員会で実質審議入りした。安倍晋三首相は、法案が東京五輪に向けた「テロ対策」に有効であり、国際条約を締結する上で早期の成立が必要と強調。廃案を求める民進、共産両党は「捜査機関による監視社会につながる」と批判し、主張は真っ向からぶつかった。

 自民、公明両党の幹事長らは委員会に先立つ同日朝、東京都内のホテルで会談し、今国会での法案成立を期す考えを確認した。

 委員会で、首相は自民の宮崎政久氏の質問に対し、法案の目的が国際組織犯罪防止条約の締結にあると強調。海外では日本人が犠牲になるテロも起こるなか、2020年に東京五輪・パラリンピックの開催を控える現状を説明し、「テロ対策は喫緊の課題。条約締結により、テロを含む国際的な組織犯罪の抜け穴を防ぐ上で、極めて重要だ」と述べた。

 公明党の国重徹氏の「捜査権の乱用による不当な人権侵害を懸念する声が出ている」との指摘には、「不安や懸念を国民が抱くことのないよう捜査の適正性確保に向けて、政府として取り組む」と答えた。

 一方、民進の山尾志桜里氏は、法案が対象犯罪とする森林法違反や廃棄物処理法違反を挙げて、テロ対策の効果に疑問のある罪が含まれていると指摘。「リアリティーのないテロ対策ではなく、現実味のある効果的なテロ対策をやるべきだ」と主張した。

 政府が法案の適用対象を「組織的犯罪集団」と規定し「一般の人は対象にならない」と説明していることについて、共産の藤野保史氏は「組織的犯罪集団と判断するのは警察だ。普通の人たちの日常の行為が監視や捜査の対象になっていく」とただした。首相は「テロ組織や暴力団といった重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定され、一般の方が対象となることはない」と答えた。

 日本維新の会の松浪健太氏は法案自体に反対しない立場を示し、「共謀罪」が創設された場合に「(取り調べの)録音・録画を義務化するべきだ」と求めた。

 委員会前の理事会では、法務省刑事局長の出席を鈴木淳司委員長(自民)が職権で決めたことに民進、共産が反発。山尾氏は「答弁能力に欠ける法相の発言で、この『共謀罪』がテロ対策の役に立たないことがばれてしまうことを恐れている」と政府・与党の姿勢を批判した。(金子元希)

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