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 京都市中京区の老舗出版社「平楽寺(へいらくじ)書店」の国有形文化財に登録されている店舗が、解体されることになった。築90年で老朽化が進んでいるが、所有者が改修費用を賄えなかったという。解体してマンションを併設した店舗兼住宅に建て直されることになり、文化財登録は抹消される。

 平楽寺書店は仏教関係の学術書を扱う出版社で、日本有数の歴史を誇る老舗。丹波の武士・村上浄徳が安土桃山~江戸時代の慶長年間(1596~1615)に、京で書籍商を開業したのが始まりという。

 1913(大正2)年、他の出版社にいた故・井上治作氏が譲り受けた。その治作さんが27(昭和2)年に建てたのが洋風の鉄筋コンクリート造り3階建ての店舗で、木造2階建ての住宅とつながっている。店舗は2階から3階部分の「トスカーナ様式」の柱2本が特徴的で、98年に国有形文化財に登録された。

 しかし、建物が老朽化して道路側に傾き、耐震性が懸念されるようになった。所有者は京都市文化財保護課に相談したが、登録有形文化財の修理に国の補助が出るのは設計監理費の一部だけで、工事費は所有者の負担になることがわかった。平楽寺書店取締役の井上知也さん(43)は「改修して残す方策を考えたが、補助が足りず、断腸の思いだが建て直すことにした」と話す。新しい建物には、現在の店舗の雰囲気をできるだけ残したいという。(大村治郎)