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 各国から認知症の当事者や支援者らが集まる国際会議が、26日から京都市で開かれる。日本では2025年に認知症の人が700万人に増え、高齢者の5人に1人になる見込みだ。医療や福祉の枠組みを超え、企業を含めた地域社会全体が認知症と向き合う時代がやってきた。(編集委員・清川卓史

当たり前に外出 一歩ずつ

 3月下旬、京都市の大原―国際会館間を走る京都バスの降車口で、高齢の女性がつぶやいた。「わたし、どこに行ったらいいんやろ……」。まだ肌寒い日だったが、女性は裸足だった。

 運転手から無線連絡を受けた京都バス高野営業所の柳本克尚所長が、すぐに社用車で向かい、追いついた停留所で女性に降りてもらった。所持金もない様子で会話もかみあわない。交番に送り、保護してもらったという。

 こうした認知症が疑われる乗客の情報は、柳本さんのもとに3カ月に1度ほど届く。柳本さんは「日中は乗客の8割が高齢者という状況も珍しくない。認知症の人への知識や理解を深めないといけない」と話す。

 京都市左京区では、区内を走る鉄道やバス、タクシーの社員も参加する認知症の人の声かけ・見守り訓練を5年前から定期的に実施している。バスや列車の一部車両を貸し切りにして、昨年は行政や福祉、警察関係者らも含む約100人が参加した。

 認知症の男性が列車にはねられ、JR東海が遺族に損害賠償を求めた訴訟で、昨年3月の最高裁判決は家族に賠償責任なしと判断した。JR側の主張の底流には、認知症の人の外出は他人に危害を及ぼす恐れがあるから家族に防ぐ義務がある、との考え方があった。

 一方、左京区での訓練は、認知…

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