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認知症の母を見つめて:6(マンスリーコラム)

 2012年8月、母(当時73)が窒息で意識不明になった。1カ月以上たち、「低酸素脳症による遷延性意識障害。回復の見込みなし」と医師から診断された。いわゆる「植物状態」だ。「植物」という言葉は、自分自身も傷つくので使いたくはないが、周囲の人にわかりやすく説明するために、やむを得ず使っている。

 母は、意思の疎通はできないが、心拍と呼吸はある。うっすら目を開けたり、よだれをたらしたり、あくびをしたりする。排便もする。生命維持をつかさどる「脳幹」の機能が残っているからだ。

病院探しに奔走

 入院して1カ月ほど過ぎた頃、「うちは急性期の病院なので、3カ月をめどに他の病院へ移ってください」と看護師に促された。病院側としては、治療を一通り終えて症状が固定化した患者を一日も早く転院させ、ベッドを空けたいのだ。

 母の症状だと介護施設は受け入れ困難で、「医療型の療養病院」が現実的だと言われた。でも、手頃な値段の療養病院は何カ月も待たされることが多く、「どうしても空きがなくて、ここ(横浜)から群馬や福島に移った方もいます」と看護師。

 そんな遠くは困る。私の家に近い都内がいい。病院のソーシャルワーカーに相談すると、「うちは県内の情報しかなくて。都内ご希望なら、系列の病院に問い合わせてみますが」と言われた。

 このままでは病院難民になると考え、病院探しを始めた。「情報は人に頼らず自分の足で稼ぐ」という気持ちだったが、当時はまとまった情報がネット上にもなく、予想以上に難渋した。

 まず都庁で都内の病院一覧が載った資料を購入。めぼしい病院に電話で問い合わせた。病院によって金額にかなり開きがあり、介護施設以上に選択肢の幅が狭いと感じた。

 次に、候補を絞って見学した。どの病室も寝たきりのお年寄りばかり。改めて「日本はこんなに寝たきりの人が多いのか」と驚いた。ここに自分の親が加わることが、切なかった。

 見学1件目の都内A病院。病床…

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