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 障害者46人が殺傷された相模原事件。人の命に優劣をつける考え方が事件の背景にあると指摘された。ところが、政府は再発防止策として、むしろ精神障害者の「監視」を強めるような法改正案をまとめた。障害がある人たちは「むしろ偏見を助長する」と批判する。

 3月。たにぐちまゆ(44)は大阪・梅田の映画館で、楽しみにしていたアニメを友人と見た。統合失調症の精神障害があり、障害者手帳を窓口で見せれば、割引が受けられる。でも、あの日から手帳を見せられなくなった。

 「こわいと思われるんじゃないかって」

 昨年7月26日。相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺された。逮捕、起訴された植松聖(さとし)被告(27)は「障害者は生きていてもしかたがない」と語り、パーソナリティー障害と診断された。事件後、ネット上には「精神障害者はみんな病院に入れておけばいい」といった言葉があふれた。たにぐちは、「精神障害者=危険な存在」という偏見が再び噴き出したと感じた。

 たにぐちまゆは仮名だ。十数年前に結婚した妹は、夫に「姉は修道院にいる」と言った。「妹に差し障りがあるといけない」と実名を伏せて暮らす。その頃から「たにぐち」と名乗り、自らの障害をブログやSNS、講演で語る。少しでも精神障害への偏見がなくなればと考えるからだ。

 昨夏の事件で、いままでの積み重ねを壊された思いがした。「氷を解かすように少しずつやってきたのに……」。彼女が心配するのは、世間の「視線」だけではない。人の命に優劣をつける考え方こそ問題のはずなのに、国の再発防止策はむしろ、たにぐちら障害者を「危険視」して管理しようとする方向に進んでいるからだ。

 政府は今年2月、相模原事件を受けて、精神保健福祉法改正案を国会に提出した。精神疾患で自分や他人を傷つける恐れがある人を強制入院させる「措置入院制度」について、警察や自治体の関与強化が柱となった。これに先立ち、厚生労働省の有識者チームは、植松被告は事件の約5カ月前に措置入院先から退院していたことを踏まえ、行政や医療機関が退院後に十分支援していれば、「事件の発生を防ぐことができていた可能性がある」と指摘。法改正に道筋をつける報告書をまとめた。

 しかし、有識者チームの一人は…

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