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 「9条に自衛隊を明文で書き込む」。憲法施行70年という節目の3日、安倍晋三首相がメッセージを打ち出した。改憲派は拍手し、護憲派は「戦い続ける」と声をあげた。

 東京都千代田区の改憲派の集会には、1150人(主催者発表)が参加した。「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」。安倍晋三首相のビデオメッセージが流れると拍手が起きた。

 日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「民間憲法臨調」の共催。登壇したジャーナリストの櫻井よしこ氏は「具体的に憲法改正への思いを語ってくれたことに勇気づけられる」と評価した。「国民の会」が1千万人を目標に呼びかけてきた改憲の賛同者が922万9238人に達したことも報告された。

 参加した茨城県坂東市の針替文夫さん(62)は「国民全体で議論するにはいい提案だと思う。何とか自分の任期で、という焦りもあるのだろう」と話した。

 岸信介元首相が初代会長を務めた改憲派の老舗団体「新しい憲法をつくる国民会議」もこの日、東京都新宿区で集会を開き、約400人(主催者発表)が訪れた。桜田義孝衆院議員(自民)が首相の考えを踏まえ、「こんなに憲法改正に熱心な党総裁はいない。今が絶好の時だ」と話すと、この日一番の拍手が起きた。大会終了後、主催団体の清原淳平会長は取材に「国会での議論が進まず心配していたが、総理が2020年と期限を切ったのなら、それは大いに結構」と答えた。

 一方、護憲派は危機感を強めた。東京都江東区の公園であった集会には約5万5千人(主催者発表)が参加。安保法制に反対してきた伊藤真弁護士は「政治家の中には改憲の機が熟した、という人がいるが、とんでもない。憲法を壊すたくらみに声を上げ、戦い続ける覚悟を決めよう」と呼びかけた。

 司会を務めたアイドルグループ「制服向上委員会」の名誉会長、橋本美香さん(37)は集会後、首相のメッセージについて「新憲法の施行が2020年と具体的に言われると、少し焦りますね。子どもたちの世代にも関係があることですし、国民が理解し、議論する時間がもっと必要です」と話した。

 東京都港区であった憲法学者らでつくる「全国憲法研究会」の講演会には、900人を超える参加者が集まった。

 中野晃一・上智大教授(政治学)は首相のメッセージを取り上げ、「正面突破で来るかもしれないが、民進党が最大野党で踏みとどまり、大きな力を作れるか。一人ひとりの気概が問われている」と語った。

 大学4年の倉田憲多さん(21)は「憲法9条と自衛隊の矛盾を解消する憲法改正は必要だと考えているが、立憲主義を壊している安倍政権下での改憲は危なくて、反対」と話した。