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きょうも傍聴席にいます。

 幼い娘を交通事故で亡くした父親が34年後、その現場近くで、車にはねられ命を落とした。子どもが犠牲になる事故をなくそうと、登校する小学生の見守り活動をしている最中だった。事故を起こした被告の男(62)が運転を誤った理由とは――。

 3月30日、松江地裁益田支部で開かれた初公判。被告の男は、グレーのスウェットと紺のズボンで法廷に現れ、「間違ってはないと思います」と罪を認めた。

 起訴状によると、被告は島根県益田市で今年1月30日、酒を飲んで軽トラックを運転し、横断歩道を渡っていた小3の男児(当時9)と見守り活動をしていた男性(当時73)をはねて道路交通法違反(酒気帯び運転)と自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた。男児はけがをし、男性は翌日に急性硬膜下血腫で亡くなった。

 冒頭陳述や取材をもとに事件の経緯をたどる。

 事故にあった男性の次女は1983年、今回の事故現場の近くでトラックにはねられて亡くなった。小学2年生だった。男性は娘の事故について口にすることはなかったが、孫が小学生になった15年前から登校に付き添い始めた。その後も地元の子ども見守り隊の一員としてほぼ毎日通学路に立ち、子どもたちからは「おっちゃん」と慕われていた。信号機の設置などを行政に要望したこともあった。事故にあった1月30日の朝も、いつもと同じ黄色いジャンパーと赤い帽子を身につけて家を出たという。

 男性は地元出身で、地域の伝統芸能「石見(いわみ)神楽」の演奏や指導に50年以上取り組んでおり、地域ではよく知られた存在だった。

 一方、被告は事故前日の夕方から当日午前2時ごろまで、自宅で焼酎の水割りを飲んでいた。午前6時半過ぎ、息が酒臭いと自覚しながら、出勤のため軽トラックのハンドルを握った。

 証拠調べで、検察官が男性の妻の供述を読み上げた。

 「娘のみならず、夫まで事故で失い本当に悔しいです。笑顔の絶えない家族から、安心できる存在を永遠に失ってしまいました」

 「悪質な飲酒運転で、何の落ち度もない夫をひき殺した相手を許すことはできません。法律を守らない悪質なドライバーを増やさないためにも、相手に真に反省してもらうためにも、厳重な処罰を望みます」

 被告は身動きせず、前を向いて聞いた。

 被告人質問は初公判と同じ日に…

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