【動画】「下町ボブスレー」で平昌五輪をめざすジャマイカ代表=笠井正基撮影
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 東京都大田区の町工場が作る「下町ボブスレー」で、ジャマイカのジャズミン・フェンレイター(31)が来年の平昌(ピョンチャン)五輪出場を目指す。夢が実現すれば、同国初のボブスレー女子五輪代表になる。

 常夏の国ジャマイカのボブスレーは、1988年カルガリー五輪に初出場した男子選手を描いた映画「クール・ランニング」で知られる。ところが、2002年ソルトレーク五輪から採用された女子種目では、同国選手の出場はまだない。

 実は、フェンレイターは五輪経験者だ。ジャマイカと米国の二重国籍で、14年ソチ五輪に米ボブスレー代表として出場。12年ロンドン五輪陸上女子100メートル障害4位のロロ・ジョーンズと組んで11位だった。自身も陸上の投てき種目から転向して世界のトップを目指してきただけに、「結果を受け止めるのに時間はかかった。でも、次の五輪でどうすべきは分かった」。

 その矢先、ジャマイカ連盟から国籍変更を打診された。ソチ五輪前にも誘われ、一度断っている。「米国代表で1位になるプランがあったし、自信もあった」。一方で、世界にアピールしたい気持ちも強く、注目されやすい父の祖国の国籍を選んだという。

 カルガリー五輪から30年。陸上男子のウサイン・ボルトら夏季競技が盛んな国にスクリーンからわき起こった熱狂はもうない。話題になるのは冬季五輪のときぐらいという。五輪の出場権を得るため世界を転戦してポイントを稼ぐ必要があるが、資金難から男子チームはヘッドコーチを雇うための援助をクラウド・ファンディングで呼びかけている。フェンレイターも個人協賛社を求め、企業にメールを送る日々だ。

 そんな状況で、下町ボブスレーがそりの無償提供を名乗り出た。今秋にできる新型機は彼女の意見を採り入れ、全長を短くして軽量化される。米国時代のそりはドイツ自動車大手のBMW社製だった。「今はBMWやフェラーリのそりが速いが、改良し続ける下町製が一番になるかも」と期待する。

 ふだんは、夫でボブスレー選手のサーフ・フェンレイター(29)と米国に住み、練習に励む。「ジャマイカチームの愛と情熱は負けていない。初代表になって、私に続く未来の選手のためにも道を作りたい」(笠井正基)