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 漂着した流木を拾い集めてつくった巨大なゴジラが山口県光市の虹ケ浜海岸に出現した。海岸の美化を兼ね、介護職員の重山洋一さん(56)が2年前から取り組んでいる流木アート。「クオリティーが高い」と訪れるファンも多いが、風などで倒れる危険があるとして、県周南港湾管理事務所が撤去要請を検討している。

 21日夕。島影に赤々と沈む夕日をバックに流木ゴジラを撮ろうと、数人がカメラを構えていた。広島から来たという2人組の女性は「撤去されるらしいと知り、記念撮影に。とても残念です」と話した。

 海岸に流木ゴジラが現れたのは今月になってから。近くの社会福祉法人に勤める重山さんが1カ月ほどかけて漂着した流木を拾い集め、組み立てた。高さは5メートルほどもあり、足元には木片で「祈 東日本九州熊本復興」の文字が並ぶ。

 「夕日を背景にしたシルエットがお勧めです。まだ制作途中で、今後、全身に木ぎれをはり付け、夏までに完成させるつもり」と重山さん。

 流木アートを始めたのは2015年から。昔から「白砂青松」で知られる虹ケ浜海岸だが、漂着ゴミや流木が押し寄せ、夏場はほぼ毎日、市の委託業者が機械で清掃している。「若い人たちに海岸の美化について関心を持ってもらうには」。思いついたのが流木アートだった。

 昨年はアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する巨大生物「王蟲(オーム)」と「巨神兵」を制作。細部までこだわった完成度の高さがツイッターなどで話題になった。

 「今年はそれ以上のものを」と、とりかかったゴジラの制作。が、海岸を管理する県周南港湾管理事務所が存在に気づき、19日に「危険性」を指摘。「応急措置」として、重山さんが流木で囲った柵の外周に、さらにロープを張り巡らし、「立ち入り禁止」の札を下げた。

 事務所の担当者は「いったんは撤去をお願いしたが、重山さんから制作の趣旨をうかがい、現在、持ち帰って検討中。(撤去を求めるかどうか)結論はまだ出ていない」と話す。流木アートなどの構造物は海岸法上の許可が必要だが、届け出はなかったという。

 重山さんは「撤去を求められれば残念だが、従うしかない。未完成のまま消えていくゴジラも悪くないかもしれない」と話す。(三沢敦)