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 遺伝子を狙い通りに改変する「ゲノム編集」の新たな手法を、京都大の植田充美教授(細胞分子生物学)らの研究チームが開発した。従来の手法では、編集できるDNAの領域が6割にとどまるが、新手法ではほぼすべての領域を編集できるという。英科学誌サイエンティフィック・リポーツに論文が掲載された。

 ゲノム編集では、2本の鎖でできたDNAの特定の位置に分子がくっつき、「はさみ役」の酵素がDNAを切断する。従来の手法では、酵素によって切断できる範囲が全体の6割にとどまっていた。また、切れたDNAの末端がつなぎ直される間に、誤ってDNAの断片が挿入されたり、削られたりするという問題もあった。

 研究チームは、DNAの2本の鎖のうち1本だけを切ることができるタイプの新たな酵素を作製。DNAの幅広い領域を編集できるうえ、断片の誤った挿入や削除も生じないことを酵母の実験で確認した。切れずに残った片方の鎖がDNAをつなぎ留めるため安定し、正確に編集作業が進むという。

 植田さんは「この技術はヒトの細胞にも応用できる。将来は、遺伝性の病気の治療にもつながる可能性がある」と話している。

(西川迅)

 ゲノム編集 遺伝子を狙った部分で切ったり置き換えたりする技術。現在主流の「CRISPR/Cas9(クリスパー/キャス9)」は2013年に米国で開発された。DNAの標的となる部分にRNA分子が結合すると、酵素の「Cas9」がDNAを切断する。その使いやすさから急速に普及し、農作物や畜産物などの品種改良、遺伝性の病気の治療法の研究開発など広範に利用されている。

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