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 裁判所の令状なしに捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末を取り付けた捜査の違法性が争われた事件の判決で、東京地裁は30日、一連の捜査は違法と判断し、無職の福間康成被告(48)について覚醒剤取締法違反などの罪を無罪とした。島田一裁判長は「違法なGPS捜査で居場所を特定し、覚醒剤を押収した」などと指摘した。

 一方、ほかの7件の窃盗や建造物侵入の罪は有罪とし、懲役4年(求刑懲役6年)の判決を言い渡した。

 最高裁は3月、GPS捜査について「令状なしの捜査は違法」との初判断を示した。今回の判決は、警視庁が令状なしで1年9カ月間、被告らの車に計70台のGPS端末を取り付けたと認定。「個人のプライバシーを大きく侵害するもので、令状主義の精神を無視した重大な違法捜査だ」と批判した。

 判決によると、被告は2013~14年、横浜市や兵庫県尼崎市などで新幹線回数券や車など計約1570万円相当を盗むなどした。

 判決はさらに、逮捕時に警察官が被告に拳銃を向けた行為についても、「武器の使用が必要なほど差し迫った危険があったとは認められない」と批判。被告から覚醒剤を押収した捜査を「重大な違法」とした。

 警察庁は、06年に都道府県の警察に出したマニュアルで、GPS捜査の存在を捜査書類に書かないよう「保秘の徹底」を記していた。今回の裁判でも、GPSに関する捜査メモが公判が始まってから廃棄されたことが明らかになった。判決は「令状請求の必要性を検討した形跡は一切認められない。司法審査や令状主義を軽視する態度を見て取ることができる」と述べた。(志村英司)