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 札幌の初夏を彩る風物詩「第26回YOSAKOIソーラン祭り」が7日開幕する。25年前、参加10チームで大学生たちが手作りで始めたささやかな祭りは、今や約280チームが参加し、観客200万人を集める巨大イベントに成長。全国各地、さらには海外にまで踊りの輪を広げる存在になった。一方、おひざ元の札幌では“YOSAKOI嫌い”の人が少なくない。というか、かなり多いらしい。逆にその「空気」を察して、好きなのに好きと言いづらい人もいる。このギャップ、埋めることができるのか――。(山内浩司)

 〈ヨサコイなんてうるさいだけ。どうせ高知のお祭りのパクリだし、なんであんなのが毎年開催されているのか、意味わかんない〉

 〈そもそも祭りでもない、ただのダンスコンテスト。しかも参加者からお金取ったり、桟敷席も有料だったり、ああいう商業色強いのってどうなんだろう〉

 〈移動で地下鉄に乗ってる踊り子のマナーが悪い。化粧とか衣装も品がないしヤンキーみたいじゃない〉

 〈騒音もひどい。野外フェスみたいにどこかの土地を借りてやればいいのに〉 〈踊り子たちって、群れたら強いと思ってるじゃない? あれが気持ち悪い〉

 キツい言葉のオンパレード。何もそこまで言わずとも……という気もしてくるが、これは4月に刊行された小説「YOSAKOIソーラン娘 札幌が踊る夏」(宝島社文庫)に登場する場面の要約だ。世間で語られるYOSAKOI批判のパターンがほぼ網羅されているといっていいだろう。

 小説の主人公は、札幌で独り暮らしする26歳の女性。行きつけの居酒屋でYOSAKOIチームに誘われたことで、孤独だった日常が次第に変化していく。恋とダンス、ヒロインの心の成長を爽やかに描いた青春ストーリーなのに、なぜこれほど手厳しい批判の数々を盛り込んだのか。

 「YOSAKOIを描くなら、批判の意見も書かないとウソになると思いました。でも、嫌いな人と好きな人の溝の深さを改めて痛感しました」と札幌在住の作者、田丸久深(くみ)さん(28)は苦笑いする。

 道内出身。札幌に出て働きながら作家を目指し、3年前に公募コンテストで最優秀賞を受賞し、デビューを果たした。2作目のテーマには、いつか書きたいと思ってきたYOSAKOIを選んだ。主人公の成長を描くのにダンスはふさわしい要素で、北海道らしさもあり、道外読者にもアピールできると感じた。

 田丸さんにとってYOSAKOIの魅力は「皆が力を合わせてひとつの踊りを作っていく一体感、躍動感」という。踊った経験は小学校の運動会くらいだが、もの心ついたころからテレビ中継をかぶりつくように見ていたという。「ゴスペル音楽のようなエモーショナルな力を感じます」

 執筆にあたって、資料を集め、昨年の祭りにも足を運んで運営方法などを調べた。一方、取材を重ねる中で、ネットの書き込みや友人・知人からの批判の強さに何度か心が折れかかったという。「もともと温度差があることは承知していたけれど、これほどとは」。10年ほど前の調査では、「YOSAKOIが嫌い」と答えた人が4割弱から5割超を占めたこともあるといい、「好き」と言い出しにくい雰囲気すら感じたと言う。

 「昔は好きだったけど、今は嫌…

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