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 「共謀罪」法案をめぐって懸念を表明した国連の特別報告者の書簡に対し、政府は30日、「誤解に基づくと考えられる点も多い」などとする答弁書を閣議決定した。政府はこれまでもこうした指摘に神経をとがらせてきた。特別報告者とはどんな人物なのか。

 「書簡は国際連合の見解ではなく、また我が国政府から説明を受けることなく作成され、内容には誤解に基づくと考えられる点も多い」。国連特別報告者のジョセフ・カナタチ氏が安倍晋三首相あてに送付した書簡について、政府はこうした見解をまとめ、閣議決定した。

 29日に始まった参議院の審議でも、書簡をめぐり激しいやりとりが交わされた。民進党の真山勇一氏が「抗議よりもまず誠実に回答すべきではなかったか」と迫ると、岸田文雄外相は「書簡に示された懸念や指摘は、一部の関係者から得た限られた情報のみに基づく」と反論。共産党の仁比聡平氏が「批判されたら敵視するのでは国際社会で通用しない」と批判すると、安倍首相は「著しくバランスを欠き、客観的である専門家の振るまいとは言いがたい」とカナタチ氏個人を非難した。

 特別報告者は国連人権理事会から任命され、北朝鮮やシリアなどの13の国・地域別、人身売買や表現の自由といった43のテーマ別に各国の人権状況を調べる専門家だ。大学教授や法律家、外交官が務めることが多く、任期は最長6年。無報酬だが、報告者の数は年々増えているという。

 国連のホームページによると、カナタチ氏は地中海の島国マルタのマルタ大学教授で、情報法やプライバシー法の専門家。2015年7月から特別報告者を務めている。

 カナタチ氏は今年1月、公益社団法人「自由人権協会」が10月に東京で開く会議の基調講演を受諾。訪日時に面会する相手との話題を調べようと、日本の個人情報保護法など、関係資料を再確認していたところ、「共謀罪」法案の国会審議が始まったという。

 今春、国際会議などで様々な研究分野の日本の学者と意見交換。多くの学者が法案に対する懸念を表明した。日本国内外の報道も調べ、日本人弁護士らへの確認作業を経て、首相あての書簡をまとめたという。今後、日本政府からの反論を含めた報告書を作成し、国連総会と国連人権理事会に提出する。人権保護に対する日本の取り組みが国際社会から問われる可能性がある。

 日本政府はこれまでも国連の特別報告者に反論してきた。15年10月、児童ポルノに関する特別報告者が都内で記者会見し、「(日本の)女子学生の13%が援助交際を経験している」と発言。外務省は「数値の根拠を示すべきだ」と抗議し、撤回を求めた。特別報告者の見解は時に、正確性を欠くとの指摘もある。

 ミャンマーの人権問題の特別報…

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