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 中央自動車道の笹子トンネル(山梨県)で2012年に11人が死傷した天井板の崩落事故をめぐり、遺族9人が中日本高速道路(本社・名古屋市)の当時の社長ら4人に計1800万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、遺族の請求を棄却した一、二審判決が確定した。最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)が、5月30日付の決定で、遺族の上告を退けた。

 訴訟で遺族側は「元社長らには点検や補強工事を指示する義務があったのに怠った」と訴えたが、昨年2月の一審・横浜地裁判決は「元社長らは天井板の構造や点検結果を認識しておらず、事故を予見できなかった」として責任は問えないと判断。二審・東京高裁は、元社長らの謝罪を条件とする和解を勧告したが決裂し、昨年10月に一審同様、「元社長らはトンネルの点検結果の報告を受ける立場になかった」として、遺族の請求を棄却した。

 遺族が中日本高速と子会社に損害賠償を求めた別の訴訟では、横浜地裁が15年12月、2社の責任を認め、計約4億4千万円の支払いを命じ、確定している。

 決定を受け、事故で長女(当時28)を亡くした松本邦夫さんは「思いが届かず、失望を感じています。経営者が、組織の起こした重大事故について知らないと言い張って裁判で認められれば、組織の安全対策はないがしろにされるばかりです」とする談話を発表した。(千葉雄高)