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 トランプ米大統領は1日、選挙公約だった在イスラエル米国大使館のエルサレム移転について半年間の先送りを決めた。パレスチナやアラブ諸国側の猛反発を回避した形だが、イスラエルからは落胆の声が出た。

 ホワイトハウスは同日の声明で、決定が「大統領のイスラエルへの強固な支持を後退させるものではない」と強調。決定の理由は「米国の安全保障上の利益を守る」とし、イスラエルとパレスチナの和平交渉を「成功させる機会を最大限にするため」だと説明した。さらに、「(トランプ氏は)繰り返し大使館移転の意向を述べてきた」とし、「移転するかどうかではなく、いつ移転するかだけの問題だ」として、公約の撤回ではないとした。

 イスラエル首相府は「首都の外に大使館を置くことは(パレスチナとの)和平をさらに遠ざける。落胆した」と反発した上で、将来の移転に期待を示した。ネタニヤフ首相は「エルサレムはイスラエルの首都」として、米国や各国大使館のエルサレム移転を求めてきた。

 一方、パレスチナのゾムロット駐米大使は「長年の米政府の方針や国際的な合意に沿ったものであり、和平の機会を与える」と評価する考えを示した。AFP通信などが伝えた。

 国際社会はエルサレムを首都とは認めておらず、米国を含め各国が沿岸部のテルアビブに大使館を置いている。ただ、イスラエルは全域を「不可分の首都」と主張。パレスチナは東部を将来のパレスチナ国家の首都とする方針を示している。

 米国がエルサレムへの大使館移転に踏み切れば、中東全体が不安定になり、新たな紛争の火種になる恐れがあるとして、パレスチナやアラブ諸国だけでなく、米国内や国際社会からも安全保障上の懸念の声が出ていた。

 米連邦議会は1995年に大使館移転を求める法案を可決。ただ、同法は大統領が半年おきに移転を延期できる条項がある。歴代大統領は安全保障上の懸念を理由に判断を先送りにしていた。(エルサレム=渡辺丘、ワシントン=杉山正)