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 昨年も考えました。特に活動時間の長さについては、先生たちから、親からも「長すぎる」という声が大半を占めました。変化の波は寄せているのでしょうか。朝日新聞デジタルのアンケートには、最近の活動時間について「変わらない」という声が過半数を占めました。一方で、何とかしなくては、という動きは出始めています。

みんなのため休めない

 アンケートには、部活動の活動時間、休日のあり方やその影響について、多くの不満が寄せられました。

     

●「吹奏楽部です。体育大会やコンクール、定期演奏会の前は第一日曜日以外は部活があります。土日は午前8時から午後5時近くまで部活があることがあります。なので、土日でも自分のしたいことは後回しになるし家族と過ごす時間もとても減ります。私は最低でも週1回は休みの日をとるべきだと思います」(熊本県・10代女性)

     

●「入部説明会で、入部パンフレットに、土日は練習ありませんと書いてあったのに、実際は、練習があった。入部後に、そのことを指摘すると、『土日に練習があると言えば、入部する者がいないから』パンフレットには、うそを書いたのだとさらっと言われた」(大阪府・50代女性)

     

●「子供に勉強時間や休息時間を持たせたいが、他の部員や親が力を入れているようで、同じように動かなかったり休むと試合に出させてもらえないから、など子自身も同じ動きをしないといけないという意識になっている。休むと罪悪感を持つ様子」(兵庫県・40代女性)

     

●「早朝の『朝練』から20時近くまでの部活動は、ニホン社会の『ブラック化』を構築する元凶になっている。学校で部活を中心に『みんなのために休まない。努力する。頑張る』と勝利の日までを目的に自分を犠牲にすることを植え付けられれば、当然アルバイト、就職時にもその異常な精神は続いていく。民主教育ならぬ『統制教育』によって育てられた人間の社会が『基本的人権』尊重する社会になるはずがない」(高知県・50代男性)

     

●「私は運動部に所属している。私の学校では部活動は週3日、平日2日と休日1日に行われる。それは勉強時間を確保するためだと説明されている。だが、週3日という少ない時間の練習では他の学校との実力の差が大きく、練習量が足りないと感じている」(神奈川県・10代女性)

     

●「子供が東京都区立中。サッカー部ですが、水曜以外は土日も部活です。活動したい子供にはいいのですが、問題は、個人的理由や勉強のための塾で休むと叱られるため休みづらいことです。うちはサッカーも少しやりつつ、勉強も家族との交流も中学生には大いに必要と考えています。試合の正選手は休まず来る子供から選べばいいので、健康とスポーツを楽しみたいだけの子は『届さえ出せば文句を言われずに休める環境』にすべきです。中学の先生たちの頭が固すぎて融通が利かないのが大いに不満です」(東京都・60代男性)

     

●「私は教育学部を出て、中高の教員免許を取得しましたが、教員にはなりませんでした。理由はいくつかありますが、その中の一つが『部活動をやらされるから』です。私自身休みのない部活を経験したことや、中学の教員をやっていた父親の大変そうな姿を見て育ったことで、部活動は子にも大人にもキツイというイメージが定着しました。私の周りでも、部活動がないからという理由で小学校の教員を選んだり、教員にはならなかったという人は少なくありません。部活動の『キツさ』は優秀な教員の獲得という面にも大きな影響を与えていると言えます。より多くの優秀な学生が教員を志せるためにも、部活動を含め、働きやすい環境作りは急務だと思います」(群馬県・20代女性)

達成感 平日のみでも

 こういう部活動ならいいという意見や提案、こんな視点が欠けているという指摘も寄せられています。

     

●「大会を土曜に設定し、日曜には行わないことを徹底すべきだ。日曜に大会があると、土曜も練習せざるを得なくなり、休日に休めない」(神奈川県・30代女性)

     

●「教員の過重労働に関わるという視点からの議論も大切だが、子供たちの多様な経験を積ませるための時間確保という視点も大切。エビデンスを積み上げて、教育という長いスパンでの議論や検証が必要だと考えます」(東京都・50代男性)

     

●「労働問題の観点から部活動削減を訴える声が現場から挙がっているが、子どもの安全や健康面から抑制する観点の議論が欲しい。過剰鍛錬は子どもの心身に悪影響。また、性別違和を抱える子(学校に公言していない場合も多い)にとって、性区分が明確な部活動に参加しづらいこともある。部活動必須では、事実上の異性集団に飛び込まざるをえなく、心身の負荷が大きくなることもある」(大阪府・20代女性)

     

●「中学校教員です。今年から最低2日は休みましょうという通達が出ました。とりあえず、これで始めているはずですが、顧問が個人的にクラブチームの名目で休みのハズの日に練習をしています。任された部活動を是が非でも強くしたいと思えばクラブチームの名目で場所や時間を変えて上司に隠れることまでして練習をする教員も居ます。私は部活動と教員を切り離すべきと思います」(愛知県・40代男性)

     

●「中学生の子どもが卓球部に所属しています。学校は毎週月曜日が全部活動は休みです。卓球部の練習は火曜日から金曜日と週末土日のどちらか1日。朝練は平日1日です。運動が苦手な子どもですが、顧問の先生の『ランニング等も時間がかかっても自分のペースで頑張ればOK』という方針で楽しくつづけられています。欠席の連絡をきちんとすれば、練習の欠席でとがめられることもありません。義務教育の部活動なので、今のペースの活動で親子共満足しています」(神奈川県・50代女性)

     

●「今年から中学校に正規教諭として勤めております。先日の休養日を設ける話題のおかげで、土日両方1日練習だった部活を、今年は土日のうち片方の午前のみに変更できました。子どもたちからは不平不満がでますが、トラブルにはなっていません。正直、部活動で得られるものは確かに大きいです。生徒理解のためにも部活動があるとよりわかりますし、目的に対して努力し、到達する喜びなどは、学級活動では得られにくいです。しかし、それは平日のみの活動でも可能だと私は考えています」(愛知県・20代男性)

     

●「16:45まで部活、その後希望者はクラブとして活動。クラブは、社会人コーチと教員で社会人コーチ希望の人、保護者も立ち当番制。土日は完全クラブ化。このシステムは、まず、部活だけにするか、クラブも登録するか生徒に長時間活動にならない選択ができる。クラブもさせたい保護者からは、学校に丸投げでなく協力いただける。そして、一番に教員の部活の負担が減り、授業準備などに時間が使える」(愛知県・40代女性)

休養日 国が進める動き

 フォーラム面では昨年4月から5月にかけて、義務教育である中学校の部活動について考える記事を掲載しました。

 特に多く寄せられたのは、「活動時間が長すぎる」という声です。「生徒にとって、学習時間や多様な視点を育むゆとりが持てなくなる」「顧問を担う教員の長時間労働の原因になる」といった指摘です。

 スポーツ庁は昨年、全国体力調査で中学の運動部活動の休養日設定状況を調べました。すると、学校の決まりとして、1週間に休養日を設けていない学校が22・4%、土日に設けていない学校が42・6%ありました。また、昨年度に集計された文部科学省の教員勤務実態調査によると、中学校の教員が土日に部活動にかかわる時間は、それぞれ平均2時間10分。10年前の約2倍に延びていました。

 今回の朝日新聞デジタルのアンケート結果を見ても、部活動の最近の活動時間について回答の半数以上が「変わらない」と答えました。「長くなった」も「短くなった」を上回っています=グラフ。

 ただ、改革への動きは始まっています。文科省は今年1月、運動部の部活動で休養日を設けるよう全国の教育委員会などに求めました。愛知県教委は今年度から、公立中は週2日の休みを「必須」とし、事実上義務化しました。

 スポーツ庁も先月29日、総合的なガイドラインをつくる有識者会議を始めました。スポーツ界、教育界、大学の研究者、民間から選ばれた20人の委員が意見を出し、休養日の設定のほか、外部の人材による指導員への研修の内容、地域クラブとの連携などに関し、今年度中にガイドラインを示す方針です。どれだけ現場で守られ、参考にできる内容になるかが焦点となります。(編集委員・中小路徹

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アンケート「部活動の時間」をhttp://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするでも募集しています。

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