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 環境の変化が転機になった。プロ野球・日本ハムの大田泰示は昨オフ、巨人から交換トレードで加入。左脇腹痛で開幕には間に合わなかったが、4月23日に出場選手登録をされて以降は試合に出続けている。かつて「松井秀喜の後継者」とされた26歳は、偉大な先輩や伝統チームの重圧から解放され、北海道でのびのびと実力を発揮しつつある。

 大田は今季、34試合に出場して打率2割4分2厘、18打点、6本塁打。5月3日のロッテ戦(札幌)では、プロ9年目で初となるサヨナラ安打も放った。守備では左翼に定着し、持ち前の強肩を生かして補殺も二つ記録している。

 「今までの自分は、ヒットを打とうとしてスイングが小さくなったり、右方向へ流そうとしたりしたが、なかなか結果が出なかった。今は自分の良さである強いスイングをしよう、と思えている」と大田。打率は決して高くなくても、本塁打数は巨人での通算8年間で放った9本に迫る。

 一時の好不調にとらわれず、長期的な視野に立つのが日本ハムの選手起用、育成方針だ。城石打撃コーチは「連続して試合に出られているのが大きい。1、2試合で結果が出ないと即2軍、というわけではないので、試合のなかで、いろいろ試しながらできている」と話す。

 当初は外角の変化球に対して簡単に手が出ていたが、試合を重ねるにつれて改善。見逃したり、ファウルで粘ったりして、打者優位のカウントに持ち込めるようにもなってきた。「三振や併殺打はあっても、打席での泥臭さや球に食らいつく姿勢は見えている。いい意味での『わくわく感』が、彼の打席にはある」と城石コーチ。小さな失敗には目をつむり、豪快さを生かそうと配慮する。

 9日からは本拠・札幌ドームに巨人を迎えての3連戦がある。「意識しすぎると空回りする。しっかり投手との対戦ができればいい。楽しい3連戦になれば」と大田。球団ワーストの12連敗を記録して意気消沈気味の古巣に、フルスイングで恩返しする。(山下弘展)