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 福岡県小郡市の母子殺害事件で、妻への殺人容疑で逮捕された県警通信指令課の巡査部長、中田充(みつる)容疑者(38)と亡くなった母子3人は2年前まで、約20キロ離れた同県筑後市で暮らしていた。当時の一家を知る人は、やり場のない思いに包まれている。

 「悲しい。何でこんなことに……」。一家と交流のあった筑後市の女性(50)はそう言ってうつむいた。

 一家が越してきたのは、小学4年の長男涼介さん(9)が1年生のころ。女性の長男と涼介さんが地域の同じ子ども会に入った縁で、涼介さんの母の由紀子さん(38)と話すようになった。由紀子さんは気さくで、いつも笑顔。結婚10年で引っ越しは5回に及んだと聞いた。「お父さんの転勤には必ずついていく家族なんだなあ」と思った。

 週1度の集団登校日。由紀子さんは集合場所まで涼介さんを見送っていた。近くをパトカーが通ると、涼介さんは敬礼していた。「ちゃんとお父さんの仕事を分かっているんだ。えらいな」と感心した。充容疑者も涼介さんが通うスイミングスクールに迎えに来ていた。よく似た父子だった。

 涼介さんは2年生になるころに子ども会を退会した。由紀子さんからは「夫が転勤するかもしれない」というような話を聞いた。その後、交流は途絶えた。一家の悲劇を知り、「こんなことに巻き込まれて。かわいそう過ぎます」。(伊藤繭莉)