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 中国の改革派の論客として民主化などを訴え続けてきた北京大学法学部の賀衛方(ホーウェイファン)教授(56)が5月下旬、ソーシャルメディア上での「断筆」を宣言した。自身の公式アカウントが相次ぎ閉鎖され、ついに発信をあきらめたという。統制を強める習近平(シーチンピン)指導部の下、言論の息苦しさはかつてないほど強まっている。

 賀氏は長年、言論の自由や司法の独立を訴えてきた改革派知識人。ノーベル平和賞を受賞した劉暁波氏が共産党独裁に反対した「08憲章」にも署名し、体制批判も恐れないことで知られている。当局の厳しい統制に加え、最近は改革派を「売国奴」などと攻撃する動きもあり、発言を控える知識人が増えている。その中で賀氏は「中国版ツイッター」の「微博(ウェイボー)」、「中国版ライン」の「微信(ウェイシン)」で発信を続け、人権派や民主活動家の間で大きな影響力を持っている。

 賀氏によると、5月に始めた微信の公式アカウントはわずか10日間で閉鎖された。新たなアカウントを立ち上げたがそれもすぐに閉鎖され、投稿できなくなった。それと前後して、微博なども更新できなくなっていたという。

 当局や運営会社からの説明はない。賀氏は、国家指導者らの演説を外国語に翻訳出版する党・政府の取り組みについて、「巨額の金を使って低劣な作品を海外に出している」などと批判したことが原因ではないかと推測している。

 賀氏は断筆宣言にあたり、知人らに「知識人の声を封じても、空は必ず明るくなる。じっと明るくなるのを待とう」とのメッセージを送った。

歴史もタブーに

 言論の自由よりも国家の安全を重視する習近平(シーチンピン)国家主席は2015年の国際会議で「ネット空間は『無法地帯』ではない。利用者の権利を尊重するだけでなく、良好な秩序を築かなければならない」と宣言した。その後、政府はネット上の規制や取り締まりを強化してきた。新聞やテレビなど既存メディアへの統制が行き渡り、政府や党への批判がソーシャルメディアを通じて広まる現状に対応するためだ。

 指導者の意向をくんで現場の取り締まりは過剰なまでに強化され、言論の現場は萎縮している。

 ネットメディア幹部によると、最近は歴史を巡る記述でも発表できない内容があるという。例えば、古代王朝の最後の皇帝は「政権の崩壊を暗示する」として触れられない。古代の反腐敗運動も「政敵を倒すためで、今の運動とは違う」とされ、取り上げることができない。幹部は「この2年ぐらいで厳しくなった。なんでも指導部批判だとみなされる」と嘆いた。

 政府は6月から「インターネッ…

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