拡大する写真・図版昔は一面の笹原だったというエリアにはシカよけの柵が張られている=6月11日、八丁平

 京都市最北端にある久多(くた)。中心部から車で約1時間、山々に囲まれた約90人の小さな集落です。その南に位置する「八丁平」は関西では数少ない高層湿原。標高約800メートルで、ハッチョウトンボが生息し、珍しいコケ類が育つなど豊かな自然が残ります。住所としては「久多」で、昔は京の都への近道でもあったそうです。梅雨の晴れ間に訪れました。

湿原の花を見て考えた

拡大する写真・図版ホオの花。大きな葉は朴葉みそに使われることで知られる=6月11日、八丁平

 「上を見て下さい。ホオの花が珍しく低い位置で咲いています」「これはテツカエデの実生の苗ですね」。6月11日に行われた「八丁平自然観察会」(山村都市交流の森主催)です。京都府立植物園の名誉園長、松谷(まつたに)茂さん(67)が時々立ち止まっては植物の様子や見分け方を説明。参加者はメモを取るなどして熱心に聞いていました。

 八丁平は、盆地状の谷間に泥炭が堆積(たいせき)した湿原で、中央の平らな部分の周囲が約八丁(約870メートル)あるとされています。モウセンゴケやヤチスギラン、スゲ類が生え、周囲には落葉広葉樹の林もあり、多様な動植物が息づいています。昨年3月に久多など京都市北部は「京都丹波高原国定公園」となりましたが、八丁平は開発規制が厳しい「第一種特別地域」に指定されています。

拡大する写真・図版満開のタニウツギ。田植えの季節に咲くことから「田植え花」とも呼ばれるそうだ=6月11日、八丁平

 訪れた日は、ピンク色のタニウツギの花が満開。木ごとに花の色の濃淡が違うそうです。カッコウの鳴き声に耳を傾けながら、湿原に敷かれた木道を歩いていて、茎を長く伸ばした先に鮮やかな花を咲かせているクリンソウを見つけました。ノリウツギやタニフタギの白い花も。

拡大する写真・図版木道からクリンソウの写真を撮る参加者=6月11日、八丁平

 湿原や周りの林では、高い柵で囲われた場所が目に付きました。シカよけの柵です。「山村都市交流の森」職員の藤井拓郎さんによると、大小あわせて計25カ所ほど。昔は一面を覆っていたチマキザサが、十数年前に一斉開花した後に枯れ、さらに新たな株がシカに食べつくされ、ほぼ消滅。それを機に2010年から市の予算で本格的に柵を張り始めたそうです。

拡大する写真・図版シカよけの柵の奥に鮮やかなレンゲツツジの花が見える。カキツバタも点々と=6月11日、八丁平

 雪や倒木に悩まされながらも、柵の効果でレンゲツツジやカキツバタ、イヌツゲなどは少しずつ回復してきているとのことで、柵の外からですが、レンゲツツジなどの花を観賞することができました。ただ、ササの回復は見られないなど「昔の八丁平の姿に戻るには時間がかかる印象です」。地道で息の長い保護の取り組みが欠かせないと感じました。

 「山村都市交流の森」(http://dobanzy.com別ウインドウで開きます)の次回の八丁平自然観察会は、10月22日に開かれる予定です。

■京都府第2位の山と古…

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