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 ゲーム関連の展示会「Electronic Entertainment Expo(E3)」が、6月13日から15日までの3日間、今年も米ロサンゼルスで開催されました(写真1)。22年の歴史を持つイベントですが、今年は異変が一つ。とにかく来場者が多いのです。会場は初日から人であふれ、任天堂などの人気ブースでは、一つのゲームを試遊するために4時間から5時間待ちという状況でした(写真2)。アメリカのゲーム業界が非常に好調なことを示している一方で、ゲームが置かれている状況が大きく変わりつつあることを示してもいます。(ライター・西田宗千佳)

会場は大混雑! ゲームのヒットと「黄金期」の関係

 E3が混雑していた理由は簡単です。一般のゲームファン向けに1万5千枚のチケットを販売し、来場者を増やしたためです。E3主催者であるEntertainment Software Associationによれば、今年の来場者は約6万8千人。昨年が5万人だったので、一般のゲームファンと、プラスアルファで、30%来場者が増えている計算になります。

 意外に思われるかも知れませんが、E3は22年間、ゲーム業界の関係者向けに限定したイベントとして開催されてきました。世界でもっとも多くのゲーム関連情報を発信する場でありながら、ゲームファンは入ることができなかったのです。ですから、アメリカのゲームファンにとって、E3の一般公開は待望のニュースでした。1枚150ドルから250ドルで販売されたチケット1万5千枚は、3月に発売されるとすぐに売り切れてしまいました。

 すでに述べたように、アメリカのゲーム業界は非常に好調です。日本市場では、ゲームはスマートフォン向けが中心となり、ゲーム機向けやパソコン向けはそこまで元気がない印象ですが、日本以外の市場では、スマホ向けと同じようにゲーム機やパソコン向けの濃いゲームに人気があり、ヒット作も増えています。少なくともアメリカでは、ゲームの黄金期が再びやってきていると言って差し支えないでしょう。

 この人気を支えているのは、間違いなくソフトの充実ぶりです。PlayStation 4(プレイステーション4、PS4)が登場して今年で4年目。欧米での大ヒットを背景に、6月11日、累計販売台数が6040万台を超えたことが発表されました。これは、過去のゲーム機と比べても最速のペースです。発売元のソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は昨年、バーチャルリアリティー(VR)用のヘッドセット「PlayStation VR(PSVR)」と、PS4の性能強化版「PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)」を相次いで発表しましたが、今年はハードウェアに関する発表は一切しませんでした。ソフトウェアの充実に伴い、ソフトの話題だけに絞る戦略を採っています。E3のプレスカンファレンスでも、ハードの話題や数字は一切言わないというやり方を貫きました。ある意味で「横綱相撲」といえるでしょう(写真3)。

 そこに正面から対抗してきたのがマイクロソフトです。マイクロソフトは新型ゲーム機「Xbox One X」をお披露目しました(写真4)。Xbox One Xは、PS4におけるPS4 Proと同じような位置付けの商品です。4Kに対応したテレビが増え始めたことから、同社のゲーム機「Xbox One」の性能を強化し、グラフィックスを4Kに対応できるようにしたのです。PS4 Proとの差別化を行うため、性能の上げ幅を大きくし、より多くの表現を4K対応とする「トゥルー(真の)4K」をうたいます(写真5)。Xbox OneはPS4に比べ性能が劣っていたため、その面での劣勢を挽回(ばんかい)するという意味合いもあります。アメリカなどでは11月7日から499ドルで発売しますが、日本での発売は遅れる予定で、正式な発売日は定まっていません。

 もうひとつのゲーム機メーカーである任天堂は、すでに3月に新型機「Nintendo Switch」を発売済みで、E3でもそれを強くアピールしました。会場での人気でいえば、任天堂はトップだったといっていいでしょう。先ほど紹介した会場の混雑の写真も任天堂ブースのものです。E3初日から最終日まで行列が絶えず、4~5時間待ちになっていました。この人気は、任天堂のブランドに対する圧倒的な信頼感の証しです。同社がSwitchと同時発売したソフト「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の評価が極めて高く、マリオなどで培った「任天堂は高いクオリティーのゲームを出してくれる」という信頼感がさらに高まったようです。7月21日に発売する「スプラトゥーン2」、10月27日に発売になる「スーパーマリオ オデッセイ」を中心にアピールを行いました。

ゲーミングPCとeスポーツが市場を変える

 とはいうものの、各家庭用ゲーム機メーカーの人気ぶりも、同時に強い人気を持つ、もう一つのプラットフォームのことを抜きには語れません。そのプラットフォームとは「ゲーミングPC」です。

 ゲーミングPCは、ゲームのために性能を強化したウィンドウズ・パソコンのことで、欧米ではたいへん成長しているジャンルです。ハードウェアを作っていないゲームメーカーは、巨額になる開発費の捻出とリスクヘッジのために、同じゲームを複数のプラットフォームで販売するのが主流になっています。これを「マルチプラットフォーム」と言いますが、その一つにパソコン、特にゲーミングPCが選ばれるのは、今や当たり前になっています。元々ゲームは開発段階ではパソコン上で作られ、家庭用ゲーム機で動くように調整・最適化されるので、パソコン上で動かすのは難しい話ではありません。

 でも、ゲーミングPCは高い。シンプルな構成のものを選んでも本体だけで10万円以上するのが当然で、最近増えてきているノート型のゲーミングPCともなると、15万円以上は当然という世界です。同じゲームができるのに、なぜゲーム専用機ではなくパソコンを使うのか? そこが、日本と他の国のゲームシーンの最も大きな違いかもしれません。

 ゲーミングPCをめぐる一つの…

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