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 熱中症というと、炎天下の屋外で起きると思われがちだが、屋外だけではない。屋内でじわりじわりと症状が進んでいくタイプの熱中症もある。発症しやすい人や経過、予後など病態は大きく異なる。専門家は「熱中症には2種類あり、それぞれのリスクに応じた日常生活を心がけることが大事だ」と注意を呼びかける。

 熱中症は、高温多湿の環境や、激しい運動で体内の水分や塩分が不足し、体温調節ができなくなる状態だ。めまいや立ちくらみなどのほか、症状が進むと、頭痛や嘔吐(おうと)、倦怠(けんたい)感などが出る。さらに重症化すると、多臓器不全になり、死亡してしまうことがある。

 日射病、熱射病、熱失神などとも言うが、近年は屋外、室内にかかわらず、暑い環境で起きる健康障害を総称して熱中症と呼ぶ。筋肉を動かすような運動(筋肉運動)があるかどうかで、熱中症は大きく2種類に分けられる。

 一つは、炎天下での作業やスポーツで体を動かすような筋肉運動があるタイプ。「労作性」熱中症と呼ばれる。若い人から中年の男性に多くみられる。数時間で急激に発症し、救急搬送されることもあるが、元々健康な人なら軽症で済むことも多い。

 中井誠一・京都女子大名誉教授が、過去に起きた熱中症の気温と湿度の関係を調べたところ、気温は23~38度と幅広く、低温では湿度70%を超えるとなりやすいことがわかった。低温での発症は暑さに体が慣れていない6月に多くみられる。中井さんは、「涼しい時間帯にウォーキングなど1日30分ほどの運動を数日続けると、暑さに強い体づくりができる」と話す。

 もう一つは、家の中で日常生活を送るうちに数日かけて徐々に脱水症状が進むタイプで、「非労作性」「古典的」熱中症と呼ばれる。梅雨が明け、暑さが本格化し、猛暑日や熱帯夜が続くと注意が必要だ。部屋の中が高温多湿な状態が続き、睡眠不足などで体力や食欲を奪われ、ゆっくりと脱水状態が進む。高齢者が部屋の中でぐったりして見つかるのが、その典型例だ。

 高齢者は体内の水分量が少なく、のどの渇きを感じにくいので、ひどい状態になっても自覚できない。持病を持っていることが多く重症化しやすい。高齢者のほかにも心疾患、糖尿病、精神疾患などがある人もリスクが高いという。エアコンをつけているか、食事をきちんととっているかなど、高齢者など熱中症になりやすい「熱中症弱者」にこまめに声かけすることが重要だという。

<アピタル:マンスリー特集・熱中症>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/monthly/(北林晃治)

北林晃治

北林晃治(きたばやし・こうじ) 朝日新聞記者

科学医療部記者。02年入社、北海道報道部、さいたま総局、東京本社生活部、社会部、特別報道部などで医療など社会保障分野の取材を担当。