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 韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は27日、公約に掲げる「脱原発」政策の一環として、韓国南東部・蔚山(ウルサン)市の新古里原発5、6号機の建設工事を中断すると発表した。今後世論調査などを踏まえて、完全に中止するかを最終決定するとしている。韓国政府が着工済みの原発工事を止めるのは初めて。

 文大統領は19日に古里原発1号機(釜山市)の稼働停止を記念する式典で演説し、新規原発の建設計画の白紙化や、老朽化した原発の設計寿命を延ばさない方針を表明。新古里の5、6号機は巨費が投じられているため、白紙にするかどうか別途検討するとしていた。

 韓国政府によると、新古里の5、6号機は昨年6月に着工され、2023年に稼働予定で、すでに28・8%が完成している。約1兆6千億ウォン(約1570億円)が投じられ、工事を完全中止した場合、地元経済の損失を埋め合わせる住民への補償などでさらに計1兆ウォン(約980億円)かかるとしている。

 工事を完全にやめるか再開するかは「社会的合意が必要」として、電力関係者や専門家を入れない中立的な委員会を作り、世論調査などを踏まえて3カ月後をめどに最終決定するとした。ただ、「非専門家の手に決定を委ねる手法に波紋」(東亜日報)などと批判もある。

 韓国は16年現在、発電設備容量に占める原発の割合が22%を占める。文政権の方針通りに実施されれば、設計寿命が尽きることで29年には現在24基の原発が13基まで減る。代わりに太陽光などの再生エネルギーや液化天然ガス(LNG)の割合を増やすとしているが、電力供給の計画や電気代などは今後発表する行程表で示すという。

 産業界や専門家からは懸念の声も出ている。韓国・慶熙(キョンヒ)大の鄭釩津(チョンボムジン)・原子力工学部教授は「再生エネルギーは現状では原発よりもはるかにコストが高く、技術革新に期待して政策を立案できる段階ではない」と話す。(ソウル=武田肇)