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 稲田朋美防衛相が東京都議選の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」と発言した問題をめぐり、民進党など野党4党は28日、安倍晋三首相に稲田氏の罷免(ひめん)を求めることで一致した。首相は要求に応じず、続投させる方針だ。

 発言は都議選の結果だけでなく、内閣改造など今後の政権運営にも影響を及ぼす可能性がある。自衛隊と政治との関係性が問われる発言で、首相が提案した自衛隊を明記する憲法9条改正の議論にも波及しそうだ。

 民進、共産、自由、社民4党の国会対策委員長らが国会内で会談し、4党首連名で罷免を求める文書を交わした。29日、自民党の竹下亘国対委員長に伝える。

 文書では「自衛隊を私物化し、政治利用するかのごとき発言」と指摘したうえで、「防衛大臣の要職にとどめることは、断じて許されない」とした。そのうえで安倍首相の任命責任を問うための予算委員会での閉会中審査や臨時国会の早期召集も求めている。民進の蓮舫代表は記者団に「首相がきっちりと罷免するべきだ」と語った。

 これに対し首相は、あくまで稲田氏を続投させる方針。28日午後の都議選の応援演説では「『自民党、何をやっているんだ』という厳しいお叱りも頂く。党総裁としておわびしたい」と語ったものの、稲田氏の発言自体には触れなかった。

 菅義偉官房長官は同日の記者会見で「しっかり説明責任を果たし、誠実に職務に当たって頂きたい」と述べた。菅氏は27日夜に稲田氏から報告を受け、発言撤回を指示。稲田氏は同日深夜に緊急の記者会見を開き、「誤解を招きかねない発言があった」と撤回した。政府高官は「撤回したので、それでいい」と幕引きを図る。しかし自民党内には「少なくともプラスはない」(石破茂・元防衛相)と都議選への打撃を指摘する声がある。

 憲法15条は公務員を「全体の奉仕者」と位置づけ、公職選挙法136条の2で公務員が地位を利用した選挙運動を禁止。稲田氏の発言は同法令に抵触する可能性があるほか、選挙権行使以外の自衛隊員の政治的行為を制限する自衛隊法に抵触する政治的行為を呼びかけたと受け取られかねない。