女性首相、同性愛公言 保守的なセルビアで波紋

ウィーン=喜田尚
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 セルビア議会は6月29日、ブチッチ大統領が指名したアナ・ブルナビッチ氏(41)を首班とする内閣を賛成多数で承認し、旧ユーゴスラビア解体後の同国で初の女性首相が誕生した。ブルナビッチ氏は同性愛者であることを公言、保守的な家族観を強調するセルビア正教の影響力が強い同国で波紋を呼んでいる。

 昨年4月の総選挙で中道右派「セルビア進歩党」を率いて大勝したブチッチ氏が現職の首相のまま今年4月の大統領選でも圧勝。後継首相にブルナビッチ氏を指名した。

 ブルナビッチ氏は米企業で働いたあと、昨年、行政地方自治相に就任。セルビアの欧州連合(EU)加盟を最大の課題とするブチッチ氏による指名の背景には、少数者保護を求めるEUへの配慮があると見られる。セルビアでは2010年に性的少数者の「プライド行進」に反対する暴徒が警察と衝突、多数の負傷者が出た。

 内閣承認をめぐる審議では、野党の右翼民族主義政党が「西側の圧力による指名だ」と批判。進歩党と連立を組む与党の少数政党の一部もブルナビッチ氏の就任に反対した。

 セルビアはEU加盟交渉を進める一方、旧ユーゴ紛争時から関係の深いロシアとのバランス外交にも腐心する。新内閣には同国との関係が深いと見られる人物も入閣した。(ウィーン=喜田尚)