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 食中毒の中でも、最近アニサキスが取り上げられています。私たちの内視鏡室でも毎年、刺し身を食べた後に胃が痛いと受診された5~10人の方に見つかります。

 アニサキスはクジラや魚にいる寄生虫です。内臓に寄生し、宿主が死ぬと筋肉へ移動します。サバによるものが多く、イワシ、アジ、タラ、サケ、イカなどにもみられます。加熱(60度で1分)や冷凍(零下20度で24時間)で死滅ないし感染性が失われます。

 アニサキスは長さ2センチほどの白く細長い線虫で、胃カメラで見ると虫体の一端を粘膜に刺し込んでとぐろを巻いています。捕まえようとするとくねくねと動きます。

 アニサキス症になると摂食後8時間以内に、みぞおちに、最初は張った感じから、やがて差し込むような強い痛みが出ます。しばらくすると治まり、また数分すると強い痛みの波がやってきます。これはアニサキス症に特徴的と言われています。同時に発熱やじんましんなどのアレルギー症状を伴うこともあります。胃の痛みは虫体が粘膜に刺さった痛みではなく、アレルギーによるものと考えられています。放置しても人間の体内ではアニサキスは生きられないので、4、5日で痛みは消えます。

 小腸にたどりついた場合には、食後十数時間から数日後に腹痛を起こします。腸壁がむくんで腸閉塞(へいそく)となり、吐き気や嘔吐(おうと)、下痢などを伴います。胃とは違ってカメラで確認することができないため、食事歴と臨床症状、CTなどの画像所見から総合的に診断します。ほとんどが絶食して点滴を打つ治療で回復しますが、外科手術が必要な場合もまれにあります。

 私も数年前、地場産のサケの刺し身を食べた後に痛い目にあってしまいました。アニサキスは酢、塩漬け、しょうゆやわさびでは死にません。天然のサケなど怪しいなと思ったら食欲をぐっとこらえ、刺し身をよく見て、いないことを確認することが大切です。

<アピタル:医の手帳・食中毒>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(済生会新潟第二病院 本間照医師(消化器内科))