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介護と医療の足元で:2(マンスリーコラム)

 「年明けからお父さんの腫瘍(しゅよう)マーカーが上がっているの」

 こんな言葉を、今春、母から聞いた。父は、肺がんの手術をした専門病院へ定期的に検査で通っていたが、正常だとほとんど検出されない、がんと関連がある特定のたんぱく質の血中濃度を調べる腫瘍マーカーの値が、今年1月から正常を示す基準値を超えていた。腫瘍マーカーだけでがんの再発や転移と診断できないが、可能性を示す指標の一つだ。肺がんは、男性の5年相対生存率が27%(2016年の「がん統計」)なだけに、家族は覚悟している。

 両親は、昭和の高度経済成長期に開発された、埼玉県のベッドタウンにある一軒家で暮らしている。80代の父は2年半前、肺がんの手術を受けた。それ以前に脳梗塞(こうそく)を経験し、左半身に後遺症が残る。そんな父を70代後半の母が介護する。

 「もう年だから……」「年だし、治療で苦しむようなことはしたくない」と、母は漏らす。しかし、再発や転移と診断されたときにどのような選択肢があるか、母はそれほど詳しくない。

 父は今、家で病床に伏せっているわけではない。母の介助で、気分転換を兼ねてときどき図書館に行ったり、家庭菜園に行ったり、好きなプロ野球中継を楽しんだりして暮らしている。食事も、野菜中心に普通の食事を口にしている。どこまで、どのような治療が必要なのか、患者本人や家族には簡単に判断できない。

 同時に、これから医療や介護でどれぐらいの費用がかかるのか、どれぐらいの自己負担を覚悟しておかなければいけないのか、という不安が頭をよぎる。医療でも介護でも、公的保険外の負担がばかにならない時代になったからだ。

大きく変わった医療

 実家に行ったついでに、両親が加入している保険を確認した。

 「毎月1万円でも、年金生活者だときついのよ。でも、2人で何とか食べていけるから……」

 こう言って母は「がん保険」の証書や約款を見せてくれたが、驚いた。

 「えっ、これじゃあ、がんの転移が見つかっても、ほとんど使えないじゃん」

 証書にあるのは、入院給付金、…

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