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 家の中で起きる熱中症は特に注意が必要だ。本人も知らないうちに体の水分を失っていく「かくれ脱水」になり、気づいたときには重篤になっていることが多いからだ。国立環境研究所の調査では、熱中症の4割は住宅で起きており、そのうち、高齢者が7割を占めていた。冷房を使うのを嫌がったり、トイレに行く回数を減らすために水分を控えたりしているお年寄りは要注意だ。

 東京都監察医務院が東京23区の異状死体を調べたところ、昨夏の熱中症による死亡例の76%は屋内で起きていた。そのうちの3分の2は冷房を使っていなかった。日中だけでなく、夜に亡くなる例も多かった。福永龍繁院長は「高齢者が冷房を控えている例が目立つ」とし、適度に冷房を使うよう注意を呼びかける。

 高齢者は体内の水分が少なく、暑さやのどの渇きを感じにくい。汗もかきにくく、体温も上がったままになりがちだ。このため、水分補給が遅れ、脱水が徐々に進んでいることに本人も周囲も気づかない。

 暮らしの保健室の秋山正子さんは「脱水は静かに進行しているのです」という。熱中症のリスクが高い高齢者の特徴として、①エアコンがあっても使わない②防犯のために窓を閉め切っている③夜間にトイレで起きないために水分を控えている――を挙げる。

 さらに注意が必要なのは認知症の高齢者。秋山さんは「湯飲みをもっていても、ただ持っているだけで飲んでいないことも多い」と話す。トイレに行く回数が減ったり、尿の色が濃くなったりしたら、脱水状態を疑うべきだという。

 日本救急医学会による熱中症の指針では、精神疾患や高血圧、糖尿病も重症化のリスクが高いとしている。薬を服用すると、発汗や体温調節などがしにくくなるためだ。

 周囲の人が、食事や水分をきちんととっているかをこまめに確認し、早め早めの対処をすることが必要だ。

<アピタル:マンスリー特集・熱中症>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/monthly/(北林晃治)

北林晃治

北林晃治(きたばやし・こうじ) 朝日新聞記者

2002年朝日新聞社入社、北海道報道部、さいたま総局をへて、東京本社生活部、科学医療部。厚生労働省など社会保障、医療分野を取材。東日本大震災後、社会部をへて再び科学医療部へ。2016年9月からアピタル編集部員