ワタリガラス、4歳児相当の知能 将来見越して行動
鳥の中でも頭がいいことで知られるワタリガラスが、目の前にないエサを得るために道具を用意するなど、将来を見越した行動をすることがわかった。チンパンジーなど一部の類人猿にしかできないとみられていた能力で、人間では4歳児以上に相当するとみられる。知能の進化を知る上で重要な成果という。
スウェーデン・ルンド大の研究チームが14日付の米科学誌サイエンスに論文を発表した。研究チームは、ワタリガラス計5羽を訓練し、エサ箱に特定の小石を入れるとふたが開いて中身がもらえることやペットボトルのふたを取ってきて実験者に渡すとエサがもらえることなどを学習させた。
その後、カラスをエサ箱から遠ざけて、小石を含む四つの小道具が入った容器から好きな一つを選ばせた上で、15分後と17時間後に再び箱に近づけた。小石以外の小道具ではふたは開かない仕組み。カラスはほとんどの場合で正しく小石を選び、15分後に約8割、17時間後には9割近くがエサにありつけた。
次に、容器に1粒のエサとペットボトルのふた、別の小道具二つを置いて一つだけ選ばせたところ、カラスは7割以上の割合でふたを選んだ。ふたをエサ箱を開く小石に変えても似た結果が出た。すぐ食べられる少量のエサよりも、後で多くのエサと交換できるふたや小石を選んだとみられる。野生のワタリガラスには道具を使う習性はないという。研究チームは、将来を予見して行動する能力は、類人猿以外に鳥類でも別個に進化してきた可能性が高いとみている。(ワシントン=小林哲)
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