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 23日投開票の愛知県清須市長選の争点に「名古屋市との合併」が浮上した。推進派の新顔を河村たかし名古屋市長が応援し、「市民と考える」立場の新顔との差異化を図る。名古屋市の周辺との合併話は何度も頓挫。今回の市長選で機運が高まるかも見通せない。

河村市長、推進派を激励

 市長選は前市議の渡辺秀人氏(58)と、前副市長の永田純夫氏(62)の無所属新顔2人の争いとなった。

 渡辺氏は「名古屋市との合併も重要な選択肢」と合併に前向きだ。告示前日の15日、渡辺氏の事務所を河村氏が激励に訪れた。

 「信長も元々は清須。名古屋の兄貴みたいな清須と一緒になれるなら、こんなにうれしいことはない」と合併話を持ち上げ、自身が率いる地域政党・減税日本の推薦を渡辺氏に出した。

 渡辺氏が地盤とする旧西枇杷島町は、2002年に名古屋市との合併を模索した。旧町内にあるJR枇杷島駅から名古屋駅までは約5分。町民の名古屋への親近感は強かった。だが結局、合併は実現せず、旧西枇杷島町など3町は05年に合併して清須市になった。

 一方、現市長の後継候補として立候補した永田氏は16日の出陣式で「合併には反対ではない。市民とともに考えていくべきだ」と述べたが、合併を主要な旗印にはしていない。

 永田氏は、清須市成立時と、09年にさらに1町を編入した時の合併協議会の事務局長を歴任。告示前には「合併に2度携わった立場から言うと、合併は相手がどう思っているかも大切。決して簡単ではない」と話していた。

周辺自治体は「破談」相次ぐ

 今回の清須市長選で合併話が争点となる伏線は隣の北名古屋市にあった。同市の長瀬保市長は昨年9月、名古屋市との合併を「前向きに検討する」と市議会で表明。同年の市民アンケートでは合併賛成派は56%(「賛成」31・0%、「どちらかというと賛成」25・0%)に達した。市は今後の指針に合併推進の文言を盛り込む方針だ。

 北名古屋市は清須市、豊山町と一緒に名古屋市と合併し新区となることを想定。長瀬氏はその後、清須、豊山の首長と面会し、合併の意向を説明したという。

 だが両首長とも合併話には中立のままだ。名古屋市の担当者も「北名古屋市からの正式な申し入れはまだ。こちらから行動を起こす段階ではない」と静観の構えだ。

 名古屋市が周辺自治体と合併したのは1964年が最後。各地で合併が進んだ「平成の大合併」でも複数の合併話を持ちかけられたが、全部「破談」となった。

 大治町では2010年、名古屋市との合併を推進する前町長が就任。両市町で合併の勉強会を4度開催した。だが前町長は13年に酒気帯び運転で検挙され、辞職。同年に初当選した村上昌生・現町長に交代後、合併話は立ち消えとなった。村上氏は18日に無投票で再選。当選後の取材に「名古屋市と合併してもメリットは敬老パスと地下鉄くらい。合併する意義が見いだせない」と語った。(日高奈緒