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 国が沖縄県名護市辺野古で進める米軍普天間飛行場移設のための埋め立て工事は、県の許可なく海底の岩礁を壊すことになるとして、翁長雄志(おながたけし)知事は24日、差し止めを求め、那覇地裁に提訴した。昨年12月の最高裁判決以来、辺野古をめぐり、沖縄県と政府が再び法廷で争う事態になった。

 辺野古の現場海域では、地元漁協が漁業権を放棄し、政府が4月下旬から埋め立ての第1段階となる護岸工事を始めた。

 県は訴状で、漁業権について、漁協が一部を放棄しただけで、現場海域には引き続き漁業権自体は存在すると主張。その状態で国が県から岩礁破砕許可を得ずに工事を進め、海底の岩礁が破壊されるのは違法だとし、岩礁破砕行為を止めるよう訴えた。

 翁長知事は提訴後に記者会見し「行政として無許可の行為を放置できない。漁業権免許制度の運用を恣意(しい)的にねじ曲げるやり方は到底容認できない」と述べた。工事中断を求める仮処分も併せて申し立てた。

 辺野古の地元・名護市の稲嶺進市長は「辺野古に新基地を造らせないというのは私も市民と約束している。可能な限り知事を支えていきたい」と歓迎した。

 一方、政府は、漁協の漁業権放棄で岩礁破砕許可は不要になったとの立場。裁判でも同様に反論し、県の訴えを退けるよう求めるとみられる。菅義偉官房長官は24日午後の会見で「翁長知事は、最高裁の判断には従うと明言していた。(提訴は)極めて残念だ」と話した。

 辺野古をめぐる県と政府との裁判は今回で5件目。2015年11月~16年2月に政府と県が互いに訴え合った3件の訴訟は16年3月に和解。同7月に政府が県を訴えた埋め立て承認取り消しの違法確認訴訟は、同12月に最高裁で県の敗訴が確定した。(山下龍一、小山謙太郎)