拡大する写真・図版 瀕死状態の主人公の目線になって物語が展開するVR作品も。参加者は実際にベッドの上に横たわって映像を鑑賞する=ベネチア、伊藤恵里奈撮影

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 専用のゴーグル型機器とヘッドホンをつけると、360度の全方位から映像と音響に包まれる。30日にイタリアで開幕した第74回ベネチア国際映画祭で、VR(仮想現実)を用いた映像作品のコンペティション部門が新設された。

 ナチスが設けた強制収容所で第2次大戦当時をたどる体験をしたり、ギャングの抗争に巻き込まれた主人公になりきったり……。VRならではの臨場感をいかした映像作品が紹介されている。

 VRのコンペ部門の審査委員長は、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオ「スリラー」で知られる米国のジョン・ランディス監督。各部門の審査員らが集まった会見で、ランディス監督は「アーティストたちが新しい技術をどう活用しているのか学びたい」と語った。

 世界3大映画祭の一つといわれるベネチア国際映画祭。今年は、マット・デイモン主演のコメディー「ダウンサイジング」(アレクサンダー・ペイン監督)がオープニング作品として上映され、開幕した。

 最高賞の金獅子賞を競う長編コンペティション部門には、日本から福山雅治さん主演、是枝裕和監督の「三度目の殺人」が参加。是枝監督は、1995年に監督デビュー作「幻の光」で金のオゼッラ賞を受賞して以来、22年ぶりのコンペ部門への出品となる。

 斬新な作品を集めたオリゾンティ部門には、青森県の小学2年生、古川鳳羅(こがわたから)君(7)が主演する日仏合作「泳ぎすぎた夜」(五十嵐耕平、ダミアン・マニベル共同監督)が出品された。

 コンペ外では音楽家の坂本龍一さんを追ったドキュメンタリー「Ryuichi Sakamoto: CODA」(スティーブン・ノムラ・シブル監督)が参加。映画祭のフィナーレを飾るクロージング作品には北野武監督の「アウトレイジ 最終章」が選ばれた。授賞結果は最終日の9月9日夜(日本時間10日未明)に発表される。(ベネチア=伊藤恵里奈)