和歌山)農地水没乗り越え…藏光さん夫妻、ミカン出荷へ
金居達朗
6年前の紀伊半島大水害で日高川が氾濫(はんらん)し、農地が水没した日高川町松瀬の藏光(くらみつ)農園。ハウスが水につかり、ミカン畑も泥をかぶったが、施設を修理し、泥をかき出し、農業を続けてきた。流された畑に4年前に植えたミカンの出荷が、来月末に始まる。
2011年1月、藏光俊輔さん(38)と綾子さん(38)夫婦は、それぞれ会社勤めに区切りを付け、農園を経営する俊輔さんの実家にUターンした。都会育ちの綾子さんもこれまで経験したことのなかった田舎暮らしが楽しみで、「違和感はなかった」。園主で、俊輔さんの父敏章さん(68)を手伝いながら2人で学ぶ日々。順調に思えた。
同年9月4日午前1時ごろ、普段は穏やかな川から「ザー」と聞いたことのない大きな音が聞こえた。すぐに、カーネーションを育てる自宅裏のビニールハウスを見に行くと、ひざ丈ほどまで水につかっていた。「やばい」。家族4人で高台に避難した。
ここから続き
「もう終わりや」。川が氾濫…