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 最近のマイクロソフトの新技術への取り組みはめざましいものがあります。一時期の不調から立ち直っただけでなく、企業としての体質までが変わってきていると感じられるほどの変貌(へんぼう)ぶりです。その変化の一つに数えられるのが、AI(人工知能)への取り組み。マイクロソフトはAIにどうアプローチしようとしているのか。米マイクロソフトのAI&リサーチ部門でビジネス向けAI担当副社長を務めるガーディープ・パール氏(写真1)に、マイクロソフトのAI開発戦略について聞きました。彼の言葉からは、マイクロソフトのAI戦略についてはもちろん、AIが我々の生活にどう変化を与えるのかという展望がみえてきます。(ライター・西田宗千佳)

ディープラーニングが状況を変えた

 マイクロソフトには「マイクロソフト・リサーチ」という研究開発機関があります。ここはマイクロソフトのビジネスからは独立した形で、非常に多様な研究を行っています。AIは1950年代に生まれた概念ですが、マイクロソフトは、25年前から、AIの研究を積極的に行っていました。

 パール副社長は「AIについては、2007年後半くらいから劇的な変化がやってきた」と話します。それが機械学習、中でも「ディープラーニング」の進化です。

 1950年代に生まれて以降、長い間AIは、人間が定めた判断のためのルールに従って判断する、「ルール型」で動いていました。この場合、いかに質の高いルールを作るかが重要になります。AIはずっとこの形で進化してきましたが、最近になって、データ量や演算量が爆発的に増えたにもかかわらず、AIの質はなかなか上がらないという状況でした。

 機械学習は、AIが判断するためのルールを、ソフトウェア自身がデータから学んで生成する手法です。その発想は新しいものではないのですが、2007年以降、ディープラーニングなどの手法で劇的に質の高い判断ができるAIを作れるようになったことで、停滞気味であったAIの活用は一気に変化しました。ディープラーニングとは、簡単に言えば、大量のデータを使い、まるで地層のように何回も学習を積み重ねることで、これまでよりもはるかに質の高いAIを実現できる技術のことです。

 現在、音声認識や画像認識、機械翻訳などの精度が急速に向上しているのは、クラウドによってデータの量が爆発的に増えたこと、そして、同時期にAI技術に前述のような質的な変化が起きたことが理由です。実をいうと、ディープラーニングがなぜ人間に近い高精度な認識ができるのか、理由の全てが解明できたわけではありません。また、学習には大量の演算が必要になるため、効率は必ずしもよくないという問題があります。しかし、ディープラーニングを軸とした現在のAIの変化が、コンピューターの世界に劇的な変化をもたらしつつあるのは疑う余地がありません。だからこそ、マイクロソフトはAIの研究と実用化をさらに積極的に進めようとしているのです。

3本柱でAIを推進

 では、マイクロソフトはAIで具体的に何をしようとしているのでしょうか? 「三つある」とパール副社長は話します。

 「一つ目は、マイクロソフト社外の開発者が、クラウドサービスやツールの中でAIを自由に使えるようにすること。我々はそのためにたくさんのツールを開発しています。演算のためのハードウェアも自社開発しています。二つ目は、AIを自社アプリの中に組み込み、便利にすることです。先日、Skypeに音声認識機能を組み込み、日本語を含む10カ国語以上を自動翻訳できるようにしました(画像2)。パワーポイントに翻訳プラグインを提供したのも同じ理由です。三つ目は、ビジネス上存在する課題を一気に解決する方法を提供することです。残念ながら三つ目の詳細はまだお伝えできません。今年後半に、より詳しいことを発表する予定です」

 要は、AIの能力をマイクロソフトが基盤技術として他社に提供し、自社のソフトやサービスを磨き上げるために使い、今の課題を解決する手段を提供するという全方位戦略なのでしょう。

 例えば、マイクロソフトは音声認識でかなりの成果をあげています。例えば英語の音声認識においては、機械での誤認識率が人間による誤認識率を下回るという成果を生んでいます。

 「音声認識のような技術は様々…

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