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 国のために命をなげうった人たちをどう悼むのか。明治政府の出した答えが、東京・九段の靖国神社への合祀(ごうし)だった。戦後72年のいま、自衛隊の活動範囲が広がる中で、「戦死」が現実味を帯びてきた。私たちはどう向き合うべきなのか。(編集委員・藤生明)

 《愚劣なりし日本よ 優柔不断なる日本よ 汝(なんじ)いかに愚かなりとも 我らこの国の人たる以上 その防衛に奮起せざるをえず

 オプティミズム(楽観主義)をやめよ 眼を開け 日本の人々よ 日本は必ず負ける

 そして我ら日本人は なんとしてもこの国に 新たなる生命を吹き込み 新たなる再建の道を 切りひらかなければならぬ……》

 京都大生から学徒出陣で海軍航空隊員となり、戦死した林尹夫(ただお)さん(享年23)の遺稿集「わがいのち月明(げつめい)に燃ゆ」。この一節をはじめ、最期の叫びを集めた「やすくにの遺書」という冊子が今春、靖国神社や在外公館などで配られ始めた。英訳もついている。

 「靖国神社に祀(まつ)られているのは、赤紙一枚でひどい戦争に参加させられた人がほとんど。本当の姿を読み取ってほしい」。まとめたのは言論誌「月刊日本」の南丘喜八郎さん(71)。

 南丘さんの実父は中国戦線から生還したが、夜にうなされ、恐ろしいほどのうめき声を上げて跳び起きることがあった。「苦しんでいたと思う。生き残った人はみんなそうだったんでしょう。殺す訓練なんかしてなかったわけだから。それは、今の自衛官も同じ」

 掲載する遺書を選んだ際、「天皇陛下万歳」といった職業軍人に多いタイプのものは、できるだけ外した。「国や故郷、家族、恋人、友人への思いが表れたものを選んだ」という。

     ◇

 英仏独語を操り、絶望的な戦況を理解していた林さん。「ダメな日本だと言いながら、命を賭して戦う。信じがたい境地。壮絶な葛藤だっただろう」と、資料収集や編集にかかわった伊藤武芳さん(37)は言う。

 終戦まで18日。林さんは19…

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