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 日本武道館(東京都千代田区)で15日開かれた全国戦没者追悼式に、滋賀県竜王町の古株(こかぶ)五郎さん(81)の姿もあった。米軍との激戦で日本兵約8万人が死亡したとされるフィリピン・レイテ島で、終戦直前に戦場で命を落とした兄の幸太郎さん(当時22)らを悼み、遺族代表の献花者の一人として花を手向けた。

 午前9時半、古株さんは都内の宿舎から会場に到着。心の中で「兄さん、天国から見てくれていますか」と語りかけたという。

 13歳年上の兄・幸太郎さんは衛生兵として陸軍に入り、日本の降伏の1カ月前の1945年7月に戦死したという。五郎さんは5人兄弟の末っ子。幼いころに幸太郎さんが旧満洲(中国東北部)に渡ったため、記憶はほとんどない。母親からは「頭の良い優秀な人」とよく聞かされていたが、戦後は兄の話をあまりしなくなったという。

 昨年11月、県遺族会の戦跡慰霊巡拝に参加し、初めてレイテ島に降り立った。兄の最後の地を訪ねることは長年の宿願だった。

 「弟の五郎です。聞こえますか」。現地での慰霊祭で、兄に呼びかけた。追悼のため、童謡「ふるさと」を歌った。

 この日の追悼式での献花は自ら希望した。「戦争になったらおしまい。穏やかな世の中であるよう、兄の分まで祈り続けます」(辻村周次郎)