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(17日、高校野球 大阪桐蔭2―1智弁和歌山)

 ピンチでも焦らない。17日の第2試合、大阪桐蔭は得点圏に再三走者を背負いながらも、冷静に切り抜け、智弁和歌山を2―1で下した。強さの背景に試合前の主将の秘策があった。

 「打たれても裏がある。攻めていこう」。1点差を守る九回表1死一、二塁のピンチ。大阪桐蔭の内野陣はマウンドに集まってそう言い合った後、次打者を内野ゴロで併殺にしとめた。

 主将で捕手の福井章吾君(3年)が、試合前のじゃんけんで勝って、後攻を選んだことで、心に余裕があった。「表の回に点を取られても、裏で取り返せるので焦らなくて済む。有利とみれば後攻めを選ぶ」と福井君。だから試合前の主将同士のじゃんけんに全神経を研ぎ澄ませる。

 この日も福井君は、智弁和歌山の主将大星博暉(おおぼしひろき)君(3年)の穏やかな表情を見逃さなかった。「やさしそうな顔つきの時はパーが出る」。読み通り、チョキを出して勝利。いつも通り、後攻を選んだ。

 福井君は「じゃんけんは運ではない」と話す。直前に相手の表情を見る。「不安そうな顔はパー。自信のある顔はグー。何か考えている人はチョキ」。じゃんけんの前には必ず握手をする。この時、力が入っていなければパー、入っていればグー、どちらでもなければチョキを疑う。

 昨秋の公式戦。試合前のじゃんけんは大きく負け越したが、試合さながら実戦の中でデータを蓄積した。

 西谷浩一監督(47)も「守りからのいい流れを攻撃につなげられるので、後攻の方がどっしりと構えていられる」と話す。

 この日の試合は初回を0点に抑えた後、裏に1点を先取し、幸先の良いスタートを切った。同点とされ、互いにあと一本が出ない苦しい展開の中、七回裏に暴投で勝ち越し点を奪う。

 直後の八回表は、3番からの主軸を三者凡退に仕留めた。

 大阪桐蔭は春の選抜初戦からの公式戦連勝を26に伸ばした。うち後攻は18試合。福井君のじゃんけんは20勝6敗で、ほとんど後攻を選んだ。

 試合後、福井君は「接戦でも、気持ちに余裕があった。練習も重ねてきたので負ける気はしなかった」と話した。「次もじゃんけんで?」と聞かれると、「勝ちます」と自信にあふれた表情で答えた。(半田尚子)

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