[PR]

 今の元号「平成」の終わりと、次の時代の始まりを意識する時が来た。政府は今秋にも天皇退位と改元の時期を決めるという。

 元号は人為的な時間の区切りにすぎないが、「平成とはどんな時代か」は、後々にイメージとして定着するだろう。昭和が「激動」「戦争と復興」「高度成長」「バブル経済の狂乱」だったように。

 7月に本社の世論調査で平成観を聞いたところ、時代全体を「明るいが不安も多い」とみる人が多いことが分かった。「経済的格差が広がった」「少子高齢化が不安」「インターネット社会で個人情報が漏れるのが不安」と答えた人がいずれも4分の3を超えた。これらはみな平成になって表面化したものだ。

 若い世代も時代を考えている。私が講師を務めている大学の学生に「平成」という題で作文を書いてもらったことがある。天皇退位のニュースに触れて初めて元号や時代を意識したという学生が多かった。

 2年生の女子が記した一節が印象的だった。

 「平成しか知らない私たちの経験も、いつかは歴史教科書の数ページにまとめられてしまうのだろう。だとすれば、私たちしか知らない、そのページからはみ出した出来事を心に刻んで正しく伝えたい」

 「平成とは」。今、答えは出ない。ただ、私たちも「平成のページからはみ出しそうなこと」を記録していきたい。プロローグ編では、5回に分けて時代を大づかみに論じてみる。(編集委員 市川速水)

こんなニュースも