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 埼玉県朝霞市で中学1年だった少女を誘拐し、2年余り監禁したなどとして未成年者誘拐や監禁致傷などの罪に問われた大学生、寺内樺風(かぶ)被告(25)=東京都中野区=の判決公判が29日、さいたま地裁で予定されていたが、被告がつじつまの合わない発言を繰り返し、松原里美裁判長は判決の言い渡しを延期した。

 寺内被告は2014年3月、少女を車で誘拐し、16年3月まで千葉市や中野区の自宅アパートで監禁。重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負わせたなどとして起訴された。

 公判では寺内被告の刑事責任能力が争点になり、地裁による鑑定では発達障害の一種である自閉スペクトラム症の傾向があったとされた。検察側は完全責任能力があったとした上で「女子中学生などを社会から隔離し、変化を観察したいなどと考えた」「社会的経験も十分に備わっていない少女が、深刻なトラウマ体験をした」などと指摘。懲役15年を求刑していた。弁護側は、地裁とは別の精神科医の診断をもとに「統合失調症で責任能力が限定される状態だった」などと減刑を求めていた。

 寺内被告はこの日、午前10時半の開廷時刻に奇声をあげて法廷に入り、裁判長から名前や年齢などを聞かれると「オオタニ」「16歳です」「私は森の妖精でございます」などと返答。「私の質問がわかるか」と問いかけられても関係のない発言を重ねた。いったん休廷となり、40分後に再開されたが、会話が成り立たず、裁判長が「判決期日を延期します」と述べて閉廷した。

 昨年9月の初公判で誘拐の起訴内容を認める一方、監禁致傷は「2年間にわたって監視していた意識はない」と否認し、「彼女を置いて外出していた」「かんぬき錠は取り外しは簡単だった」などと理由を具体的に説明した寺内被告。

 公判で読み上げられた供述調書によると、捜査段階では「社会から隔離した人を抑圧状態に置くとどのようになるのか観察するのが主たる動機」と供述。昨年11月の被告人質問では、誘拐を「物を盗むくらいのものと考えていた」と軽んじる一方で、動機を「(自分が)高校、大学で社会性を培う機会がなく、人の気持ちを理解できなかった。人の気持ちが知りたかった」と説明していた。

 この際には「今は深く反省しています」と謝罪も口にした。検察側は、指名手配後、被告が自殺を図った際に書いたとされる「重い責任を感じている。私の行動により生じた悲しみ、怒り、私が重く受け止めねばならない」などとする「遺書」の内容も明らかにした。

 ところが、地裁による精神鑑定を挟んで今年7月に再び行われた被告人質問では「何が悪かったんでしょうかね」と発言。動機も「脳内に送られる大指令の決裁に基づき敢行した」「被害者が監視してきた」などと、つじつまの合わない説明をするようになった。

 7月25日の最終意見陳述では「最後に言いたいこと」を聞かれ「おなかがすきました」と答えていた。少女の家族は同日、弁護士を通じて出した談話で、これらの発言に「腹立たしいものばかりで、到底許せるものではない」と憤った。(小笠原一樹)