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 以前にもこのコラムで書いたが、韓国では昨年5月、ソウルの江南地区でミソジニー殺人が起きた。ミソジニーは女性嫌悪をあらわす言葉。公衆トイレに潜んでいた30代独身男性が、たまたま入ってきた女性を殺害、ネットに「女が憎い」と書き込んでいた。「女だというだけで殺される!」と恐怖と怒りがまたたくうちに広がり、殺害現場は「聖地」になって女性が次々に訪れるようになった。

 誰が置いたか、付箋(ふせん)に追悼メッセージを書き込んで、それがどんどんたまっていった。雨が降り出しそうな一日、ソウル市の女性家族財団がそれをすべて館内に展示した。その数3万5千余り。天井まで壁を埋め尽くす壮観である。

 今年再び韓国に招かれて講演に出かけた。わたしの『女ぎらい ニッポンのミソジニー』(紀伊国屋書店、2010年)のハングル訳が若い女性によく読まれているとか。その女性家族財団がわたしを呼んで、若い読者との交流会をもってくれたのだ。実は同じ理由で、今春中国にも呼ばれた。

 東アジアの女性の経験に共通性があるのは情けないが、わたしの本が彼らの経験を説明する理論的な裏付けを与えたのだろう。日本でも若い読者から、こんな説明、初めて聞いた、と言われてがっくり来たが、フェミニズムとかジェンダーとかいう用語を使わなくても世の中のしくみがよくわかる、というところが受けたのかもしれない。

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