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 長崎の核兵器廃絶運動を支えてきた長崎原爆被災者協議会会長の谷口稜曄さんと元長崎大学長の土山秀夫さんが相次いで亡くなったことを受け、長崎市の長崎原爆資料館では2人の証言映像とゆかりの品を展示するコーナーを設けた。個人を追悼する展示は同資料館では初めてという。10月2日まで。

 資料館の企画展示室に置かれたモニターでは、谷口さんと土山さんが証言する映像が、交互に上映されている。それぞれ3分ほどに編集されたもので、主に被爆直後の体験について語ったものだ。このほか、2人のプロフィルや、谷口さんの罹災(りさい)証明書、カルテなど、2人のゆかりの品なども展示されている。

 千葉市から訪れた大学教授の男性(57)は、戦争を経験した世代がいなくなる日を展示から想像したという。「子どもたちにうまく伝えられるかわからない。物語のようなものに頼らざるをえなくなるのか……」

 8月30日に88歳で亡くなった谷口さんは、原爆で背中を焼かれた自身の16歳のときの写真を使って証言を続け、被爆者運動を牽引(けんいん)してきた。9月2日に92歳で亡くなった土山さんは医学生だった20歳のときに被爆。その後、医師として病理学を研究した。核廃絶のためには「感性と理性の両方に訴えかける必要がある」と唱え、核廃絶運動を理論的に支えてきた。(真野啓太)