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 来年2月の平昌(ピョンチャン)五輪開幕まで5カ月を切った今も、韓国では自然破壊への批判がくすぶる。

 問題となっているのは滑降会場だ。国際スキー連盟の規定に従い800メートル以上の標高差を造るために、山林保護地域の原生林が切り開かれた。

 当初、地元自治体の江原(カンウォン)道が出した環境影響評価では、伐採される樹木は約5万7千本と算定された。だが、自然保護団体「山と自然の友ウイリョンの人々」は独自の現地調査から、21万~40万と推定。調査過程で高山帯に生息するチョウであるシロモンコムラサキを数千匹確認し、動植物への影響を道が過小に評価していると指摘。結局、コースは男女別々に2本造る計画から、男女を同一コースにして造成面積が狭められた。

 同団体の趙祥熙(チョウサンヒ)理事は「自然を破壊してまで、数日間しか使わないコースを造らなければならないなら、五輪を開いた長野のスキー場を使うべきだと我々は主張してきた。国際オリンピック委員会が2014年に五輪アジェンダ2020で提言した通り、五輪は近い国同士が協力して開く時代だ」と力説する。

 かつて1998年長野五輪でも、八方尾根スキー場の男子滑降コースが問題になった。国立公園の第一種特別地域内の1カ所を横切り、もう1カ所はジャンプで通過する設定だった。

 特別地域の影響はどうだったのか。長野県環境保全研究所の富樫均さんによると、「五輪後の調査で、滑降競技の影響として証明できるものはなかった一方、そもそもスキー場の一般客の利用で一帯の植物がかなり傷ついていたことが確認された」という。

 その後、地元で協議会が立ち上がり、スキー場のコース管理や圧雪車の使用制限が徹底され、高山植物の復元活動も行われた。99年以降、新たな植生の損傷は激減。結果的に「環境保全の意識」というレガシーが生まれた。「今はところどころに裸地が残るものの、回復の兆候は認められる」と富樫さんは言う。

 平昌五輪でも大会後の森林復元計画がある。ただ、江原道の担当者は「具体的には決まっていない」という。

 長野では、19年に及ぶ対策と復元への努力がようやく形になってきた。逆に言えば、いったん荒廃した自然は簡単には復元できないということでもある。(編集委員・中小路徹