【動画】御詠歌を唱え、石仏88体にお参りする尼僧修行を体験=岡田匠撮影
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 悟りを求め、精神を鍛え、己を高める仏道修行。写経や座禅、滝行、修験、護摩祈禱(きとう)……。挑戦したいと思っても、一歩が踏み出せない人も多いはず。8月末、自然に包まれた京都の寺で「一日尼僧修行」を体験した読者2人に同行した。

 修行体験の舞台は京都市山科区の笠原寺(りゅうげんじ)。真言宗の寺で、川崎市の川崎大師の京都別院だ。寺を開いた尼僧が、悩める女性たちに強く生きる力を持ってほしい、と1980年に「一日尼僧修行」を始めた。朝9時から夕方4時まで、いくつもの修行が盛り込まれている。

 体験したのは兵庫県西宮市の接客業、原田佳奈(はらだかな)さん(35)と、大阪府吹田市の臨床検査技師、沖郁子(おきいくこ)さん(53)。参加した理由について、原田さんは「ささいなことに、うじうじ悩んでしまう性格を変えたい」。沖さんは「3人の子育てが一段落し、夫婦でお寺や神社を巡るようになって興味を持った」と話した。

 まず、本坊で白衣に着替えた。尼僧の笠原千裕(かさはらせんゆう)さん

(47)が「一つのことに集中し、やり遂げる。生きるコツをつかんでほしい」と心構えを説いた。続いて本堂に移り、手に印を結び、仏の真実の言葉「真言」を唱えながら白い象の形をした香炉をまたぐ。さらに「おかみそり」。頭を丸める得度の簡略版だ。僧侶の笠原隆裕(りゅうゆう)さん(53)が2人の頭にかみそりをあてた。「出家」した2人には、黒い袈裟(けさ)と白い頭巾が授けられた。「おこがましいけど、瀬戸内寂聴さんになった気分」と沖さん。

 部屋に戻り、僧侶に欠かせない念珠づくりに取りかかった。はさみや千枚通しで、煩悩と同じ108個の玉を糸に通す。2人は「学生時代の手芸クラブのよう」と笑うが、意外と難しい。玉が糸に入らなかったり、糸から抜け落ちたり。原田さんは「自分で作ると達成感がひとしお」と述べ、合掌した。

 本堂で瞑想(めいそう)。足を組み、背筋を伸ばし、目を閉じること15分。肌に風を感じ、セミの声を聞く。隆裕さんが「日ごろの生活では心を整える時間がない。いすに座ってでもいい、心を落ちつかせてほしい」。五体投地(ごたいとうち)にも挑戦。全身を使い、仏を敬う。右足、左足の順に腰を下ろし、右手、左手、頭の順に地につける。起き上がるときは逆。7回繰り返し、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」や「般若心経(はんにゃしんぎょう)」を唱え、再び五体投地を3回。原田さんは「予想以上にハード」。沖さんは「全身を使うので、もう大変」と汗を拭った。

 昼食は精進料理。台所から御膳を運び、食べ終わったら食器を洗う。やはり食事も修行なのだ。

一日尼僧、苦しみ・迷い断った

 8月末、真言宗の笠原寺(京都市山科区)で「一日尼僧修行」を体験した兵庫県西宮市の接客業、原田佳奈さん(35)と、大阪府吹田市の臨床検査技師、沖郁子さん(53)。精進料理の昼食後は、僧侶の笠原隆裕(かさはらりゅうゆう)さん(53)による約30分間の法話から始まった。

 春と秋のお彼岸の「彼岸」とは仏の世界。一方、苦しみや迷いのこの世は「此岸(しがん)」。此岸から彼岸へ渡るため、布施、持戒、忍耐、精進、禅定、般若の「六波羅蜜行(ろくはらみつぎょう)」の修行をする。

 「生きているうちに修行を積み、苦しみや迷いを取り除く。日ごろから心を落ちつかせ、よりよく生きるのが仏の教えです」と笠原さん。

 続いて、隆裕さんの妻で、尼僧の千裕(せんゆう)さん(47)に御詠歌(ごえいか)を教わる。御詠歌とは、仏をたたえる和歌などに節をつけ、鈴や打楽器の鉦(しょう)に合わせて唱える歌のこと。千裕さんがお手本を披露し、2人も見よう見まねで歌った。丁字形の撞木(しゅもく)を右手に持って鉦をたたき、左手の鈴を鳴らした。

 ボイストレーニングに通ってい…

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