歯周病は様々な病気と関係があります。今回は糖尿病、誤嚥(ごえん)性肺炎、早産との関係を紹介します。
糖尿病は血液中のブドウ糖が身体に吸収されにくくなり、血液中に糖分がたまってしまう病気です。血糖値のコントロールがうまくいかなくなると、心臓病、腎臓病、脳卒中などの合併症を引き起こします。一方歯周病は歯と歯ぐきの結合が壊され、歯周ポケットという隙間が形成される病気です。歯周ポケットには歯周病原因菌が生息しています。
この二つは一見つながりが無いようですが、相互に悪影響を及ぼします。血糖値が高くなると免疫機能が低下して唾液(だえき)の分泌量も減り、歯周病原因菌が活発になります。さらに歯周病原因菌の持つ内毒素という刺激物質が血流に流れ込み、血管や臓器、血糖値にも影響を与えます。「歯周病は糖尿病の合併症」といわれるようになっているほどです。
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液とともに誤って気管や肺に入り込んだ歯周病原因菌が原因です。通常は気道に食べ物や唾液は入り込みませんし、誤って入っても激しくせき込めば排除できますが、のどの反射が衰えている高齢者はそうはいきません。肺炎で死亡する人の90%以上が高齢者で、そのほとんどのケースで誤嚥が関係しています。高齢者・寝たきり者の口腔(こうくう)ケアは必須といえます。
妊婦の歯周病は、低体重児・早産のリスクを高めると言われています。妊婦が歯周病になると歯周病原因菌の増殖が急激に高まります。血液を通して子宮に感染すると、菌が出す毒素が体を刺激して早産にかかわる物質の生成を促進します。その危険性はたばこやアルコール、高齢出産に比べてはるかに高く、約7倍にもなります。
いずれの病気も、生活習慣の改善で発症や症状の悪化を防ぐことができます。歯周病の進行を抑えることは様々なリスクを減らすことにつながるのです。
<アピタル:医の手帳・歯の健康>
http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟県歯科医師会 佐藤哲也常務理事)
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