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(23日、大相撲秋場所14日目)

 上位陣が枕を並べて休場し、どうなるかと思われた今場所。最後に残ったのは番付通り、横綱と大関だった。豪栄道にすれば、自らのもたつきで招いた展開だったが、ここにきて気力をふりしぼった相撲をみせ、無様な自分を振り払った。

 立ち合いは2度、不成立。3度目に立って「必死でした」。直後、あっと周囲が息をのんだ。後ろに引くような動作をみせたときだ。大関の何が悪いといって、とっさに引いてしまうこの癖。だが、こらえて出た。「何とかね」。白黒を決した瞬間だっただろう。あとは前へ前へ。貴ノ岩の突き落としや引き技に屈せず、渡し込んでラグビーのタックルのように倒した。

 1年ぶりに賜杯(しはい)を抱けるかは、日馬富士との直接対決次第に。「挑戦者の気持ちで? そんなことでなく、思い切ってやるだけ。最後に勝った方が強いわけだから」。支度部屋では終始、宙をにらんでいた。

 日馬富士も、花道から入場してくるときにはもう汗びっしょり。気合十分で、御嶽海との一番にかけていた。「当たったあとは流れで」と両上手を取り、「落ち着いてさばいた」。3日目からの3連敗などで舞台の袖に隠れた感があったが、当の本人も「勝負事は予想できない」――。

 いま一度、果敢な相撲を取り戻した大関。リードされているとはいえ、追う者の気迫がみなぎる横綱。千秋楽。上回るのはどちらか。(隈部康弘)

 ●朝乃山 優勝の可能性が消滅。珍しく取材を拒み、帰り際に一言、「あと1日、自分の相撲を取り切るだけです」。

 ○阿武咲(おうのしょう) 朝乃山を優勝争いから引きずり下ろす。「しっかり下から攻められた。今場所の中で一番きれいに押し勝てた」

 ●御嶽海 日馬富士に勝てば同じ出羽海一門の豪栄道の優勝が決まっただけに「役に立てれば良かったけど。明日は勝って一門を盛り上げてほしい」。