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 書店員のようにAI(人工知能)が客の表情などを分析して、ミステリーを推薦する――。こんな実験を出版取り次ぎ大手トーハンなどが11月初旬、東京都内で実施する。ネット書店では購入履歴などに基づく推薦機能が進化しているが、直接客と接するリアル書店の強みを生かす試みだ。

 5社共同の実験。東京・新宿のブックファースト新宿店で開くアガサ・クリスティのフェアと連動する。

 数万人規模の顔の画像を学んだAIがカメラを通じて客の顔と表情を読み取り、性別・年代に加え、気分は「悲しい」「普通」「うれしい」のどれが強いかを分析。早川書房の50点から1点を推薦する。推薦作は早川書房の担当者らが客の特性ごとに3点ずつ選んでおり、そこから1点をランダムにAIが選ぶ。

 例えば、18歳までの女性で「うれしい」と推定した場合は、どんでん返しの劇的な展開が楽しめる「そして誰もいなくなった」。「悲しい」なら、女性の繊細な心理を描いた「春にして君を離れ」を紹介する。

 AIを開発したソフトウェア開発会社sMedioの担当者は「将来はAIが客が語る断片的な書籍の情報を元に本を探したり、声の調子を分析して推薦したりできるようにしたい」。企画したトーハンの吉村博光さんは「AI活用で書店を情報発信の場にし、活気づけたい」と話す。(赤田康和

◇AI書店員が薦めるクリスティ作品の例

【0~18歳 女性】

○うれしい→「そして誰もいなくなった」「スタイルズ荘の怪事件」「雲をつかむ死」

●悲しい→「春にして君を離れ」「ABC殺人事件」「五匹の子豚」

【60歳~ 男性】

○うれしい→「ナイルに死す」「ヘラクレスの冒険」「火曜クラブ」

●悲しい→「親指のうずき」「検察側の証人」「スタイルズ荘の怪事件」